【慶應義塾大学SFC石川初研究室】「神山らしさ」とはなにか
なんでも2024年3月3日
こんにちは。
今回の日記帳では、2023年度の研究についてお話します。
2023年度は、昨年度に引き続き神山町の景観計画策定に向けた基礎調査を行いました。
今年度は、神山で生活する人にとって「神山らしい景観」とはどういうものかをテーマとし、主に神山に住む人へのインタビュー調査を行うために7月と8月に神山を訪れました。
予備調査として何名かの方にオンラインでインタビューを行い、7月の調査合宿では2名の方に直接インタビューに答えて頂きました。インタビューを通じて、地形模型や航空写真や地図などが、漠然とした「景観」という話題を具体的にするために役立つこと、区域の境界や道などの空間の有り様が景観のとらえ方に強く関係しているらしいことなどがわかりました。
並行していくつかの集落の景観を調査し、神山の景観の特徴である奥行きの深い眺めをつくる地形について、空間構造を分析しました。
8月の調査では、引き続きインタビューを実施するとともに、これまで石川研が神山で集めてきた様々な景観要素に加えて「景観に影響を与えている生活の工夫」と「眺望ポイント」に注目したフィールドワークを行いました。
インタビュー調査では、年代も地域もさまざまな13人もの方のご協力を得て、今までの、そしてこれからの神山での暮らしと景観に対する想いを伺いました。インタビューを重ねる中で、神山は広く、場所によっても人によっても景観のとらえ方は多様で異なるということ、また神山で生活する人ひとりひとりの人生の経験がそれぞれの景観の文脈になっていることなどを学びました。
インタビューを行った私たち自身も、住民の方々のストーリーにふれることで神山の風景が違って見えてくるような視点の変化がありました。
フィールドワークでは農家や民家、歩経路などに現れている神山に暮らす人々の工夫を探し、収集しました。神山で暮らす人々にとっては当たり前のことも、外から訪れる私たちにとってあっと惹かれるものが、また今回もいくつも見つかりました。
神山の風景をつくる「眺望ポイント」の特徴として、遠くを一望することができる「奥行きのあるパノラマ」や、トラックや農家さん、郵便配達員さんなどが通ることで感じる「動的な風景」、稲刈り後の棚田の色の違いによって感じる「人が施した風景」など、いくつもの切り口を見つけることができました。
現在、今年度のまとめとして制作物を作成中です。神山町の景観計画を進めるうえで、神山にお住まいのみなさんに新たな神山の見方に出会っていただけるようなものにしていくべく、頑張っています。楽しみにしていてください。
次回の神山日記帳では3月に鮎喰川コモンで行う展示会に向けた、私たちの作業の様子をお知らせします!
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「神山再景展」
日時:2024年3月16日(土)・17日(日) 9:00-18:00
会場:鮎喰川コモン
主催:慶應義塾大学SFC石川初研究室 、神山つなぐ公社
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