学校と地域をつなぐ教育コーディネーター募集

終了2022年1月7日

「神山で働く」編集部

投稿者:「神山で働く」編集部

「この仕事で大事なことは『目の前の人とただ向き合い続ける』っていう、シンプルなことですね」

 

神山つなぐ公社は今年2月、新たに採用を行います。徳島県立城西高校神山校との協働プロジェクトにかかわる「教育コーディネーター」。

「教育」と名前はついていますが、教育分野などのバックグラウンドは必須ではありません。神山校で学ぶ生徒、教える教職員、まちで働く人、役場などなど、たくさんの人をむすぶ仕事です。

公社と神山校とが協働する「神山創造学」などの授業づくりや広報全般、学生寮「あゆハウス」の管理業務など多岐にわたります。

この仕事の採用プロセスのことを聞くと、あなたはもしかしたら、少しびっくりするかもしれません。書類選考のあと、町内で2日間にわたる滞在プログラムを行います。この2日間で、志望者とまち、公社のお互いの相性をじっくり見るんだそう。

新担当者採用への思いについて、現コーディネーターの森山円香さん、秋山千草さん、梅田學さんの3人にお話をうかがいました。

冒頭のセリフ「目の前の人と、ただただ向き合う」というのは梅田さんから出た言葉です。どうやらこの思いは、3人に共通する思いのようです。

 

(インタビュアー 中村明美)

そもそも、つなぐ公社と神山校ってどういう関係になるのでしょう?

森山 神山町の創生戦略「まちを将来世代につなぐプロジェクト」の「ひとづくり」にあたる取組みとして、2016年から高校プロジェクトが始まりました。

2017年度からは、まちをフィールドにした「神山創造学」という科目を新たに設け、私たちは社会人講師として授業に入っています。2019年度には神山校の先生方、町役場や地域の皆さんとの話し合いをもとに「造園土木科」「生活科」を「地域創造類」の「環境デザイン・食農プロデュースコース」に再編。全国からも学びたい子が集まれるように寮「あゆハウス」を整備して県外生の募集も始めました。

 

県立高校ですが、短期間でとても柔軟に変化しているんですね。もしかして、生徒も変化しました?

森山 私たち公社のメンバーがコーディネーターとして学校に関わり出してから6年目になります。生徒の雰囲気も変化しましたね。2016年度頃は、学校のことをよく知らずに「受験直前に中学の先生の勧めで、仕方なく来た」という子たちが多かったんです。学校見学に来ていた子は全体の40%未満で、学校を見ずに入学を決めていた子たちが大半でした。

2020年度の入学者は、事前に神山に来て体験入学に参加した割合が70%になっています。つまり「ここで学びたい」と考えて、自ら選んでくる子が増えているんです。県外からの志望者も、親子で2日間、たっぷりとまちを見てもらいます。県外枠は今年度、満員でした。

梅田 授業の中でも、「このまちが好きで、自分で神山校に来たんだ」という意志を持って入学してきた子たちが、クラス全体を巻き込んでくれています。「神山創造学」でまちにフィールドワークに出た時も、そういう子たちの思いが、空気をどんどん変えてるよね。

なるほど。「神山創造学」ってそもそも、どういう授業ですか?

秋山 生徒が、神山町という地域をフィールドにして、地域の人たちから学び、考える授業。1年生が週に2コマ、2年生が4コマあります。さらに3年生は課題研究という神山創造学の延長上にある授業が4コマあります。その中で、生徒がやりたいことをプロジェクト化していきます。

森山 私たちとフードハブの樋口さんが社会人講師として関わり、先生たちと一緒に授業をつくっています。毎年、だれと、どのように進めていくか、決まった形はないんです。ただ、生徒の「やりたい」という声をきき、伴走していきます。

 

神山創造学には今、立派なプロジェクトがいくつもありますよね。どんなふうにできあがってきたのでしょう?

秋山 例えば「まめのくぼプロジェクト」がわかりやすいかもしれません。学校近くの「まめのくぼ」と呼ばれていた耕作放棄地で、今、在来種の神山小麦などを育てていますが…。実は、最初は、ちょっと想定外なことがあったんだよね?

森山 うん、この場所でなにかできないかなとは考えてたけど、想定外だったのは、この春卒業した生徒の「景観創造」チームがかかわることになったこと。このチームが授業を開始した4月、私は、まちの代表的な景観の「石積み」をみんなで取り組みたいと思っていたんです。それで、最初の3週間ぐらい、地域のいろいろな人から石積み関連の話を聞いていた。なのに、なかなか生徒は「石積みやりたい」という声が出てこなくて。「やりたい」の行き着いた先が、「草刈り」だったんです(笑)。それで、草で荒れていたまめのくぼを刈ることに。

かなり生徒の思いを大事にするんですね(笑)。

森山 なかなか生徒が「石積みやりたい」って気持ちにならないなぁと思ってて(笑)。耕作放棄地を見たときに生徒が「草をバサッとやりたい」と言い出して。それで、草刈りをすることになったんですね。まめのくぼは2か月くらい、草を刈り続けたかな。


暑い中、草刈機はもちろん、重機も持ち出すほど大掛かりな作業でした。「なんで、あんなこと、言っちまったんだろう?」って生徒もいた(笑)。でも、荒れていたあの土地で、棚田が再生したのは、彼らがきっかけ。そこから、里山の景観が戻り、下の学年の子たちが、神山小麦の栽培など、いろいろなことができるようになったんですよね。

秋山 基本的に授業は「こんな風になったらいいな」と大人が思っていることが、授業をやっている中で、生徒の思いでどんどん変わっていきます。すると、当初の予想とは全然違う、おもしろい世界に行くんです。授業を組み立てる教育コーディネーターは、生徒がやりたいことをおもしろがって伴走できる人がいいと思います。

不思議な授業ですね。先生が導くというより、ほんとうに生徒と一緒に作っていくんですね。

森山 はい。教育コーディネーターは、社会人講師という立場はもらっていますが、学校では「森山先生」ではなくて、「森山さん」と最初から呼んでもらってます。教師と、生徒だけだと、『教える⇔教えられる』の関係で固定化されてしまいますが、地域の大人が入っていると、この関係もほぐれやすい。

梅田 「梅田はああいってるけど、先生はこう言ってる」と、大人が言っていることが分かれててもいい。自分の中で正しく理解していくのが大事、ということも伝えていけたら。

そんな公社のみなさんと、神山校の先生方とは、どんな協力体制になるんですか?

森山 実は、1学年30人の生徒に対して、農業科の先生3人と社会人講師の4人体制だったんですが、「授業の中でキャリア教育も扱うから、担任がいた方が進路のサポートもしやすい」という農業科の先生の発案もあって、今は5人体制に増えています。授業の打ち合わせも頻繁に行っていますね。

梅田 学校との連携も、最初は神山創造学だけだったけど…。1年生を担当して生徒の様子を見ながら「新入生合宿っているよね」と提案してみたんです。そしたら、先生も必要だと常々思っていたらしく、それで、新入生合宿が始まりました(笑)。提案しやすいし、必要性が共有できたら実現できるという印象です。

教育コーディネーターは授業のほかにも、学校の広報や、あゆハウスの総務的なお仕事も担いますね。

秋山 あゆハウスは、学校近くにある学生寮ですが、普通の寮と少し違います。朝食、夕食は寮生たちが自分たちで作り、洗濯も掃除も自分たち。「暮らし」を大事にした場所なんです。

寮には「暮らしをつくる」「互いに関わりあう」「自分を広げる」、そして「自ら一歩踏み出す」というコンセプトがあります。このコンセプトも、今の3年生と「ハウスマスター」と呼ばれる寮のサポート役の大人とで大事に作られました。学期に1回は、寮生たちは全体会議をして、寮のルールを見直すんです。その全体会議の準備段階で何時間も話すことも。普段でも、「朝食を食べない子がいるが、どうすればいいか?」など相手のことを考えて、ハウスマスターも含めて話し合っています。ハウスマスターも、真摯に寮生と向き合う、みんなあったかい人ばかりですよ。

秋山 教育コーディネーターは、現場のハウスマスターと協力しながら、あゆハウスの総括的なマネジメント業務を担います。週に2回程度、あゆハウスの現場にも入ります。いつもじゃないけど、一緒に夜中までトランプしたり、恋バナしたりすることもあります(笑)。寮生にとっては、生活を共にする、地域の大人のモデルでもあるんです。

2019年度入学の今の3年生が、はじめての県外生です。県外から初入寮した1人が「静岡県から神山校へきてくれた生徒」だとメディアに取り上げられて、まちの有名人になりましたね。まちの人たちから、よく声をかけてもらって、大切に見守っていただいています。

県外生向けのオンライン説明会や、地域留学体験イベントなどの広報も、私たち教育コーディネーターの担当です。説明会では神山校の生徒自身がプレゼンもするんですが、その準備は私たちもサポートします。昨年度からは、あゆハウスへの問い合わせはとても多くなりました。

多岐にわたる仕事内容ですね。新しく採用する人に期待することはどんなことでしょう?

梅田 たくさんやることがあるようにも思えるけれど、基本の仕事は「目の前の人とちゃんと話して、その人と向き合っていく」。シンプルにそれだけかなと思います。

直接、言葉で言われるわけではないですが「まちのことをやるけど、で、あなたは何をしたいの?」と問われていると感じます。上司がいて、誰かが決めたものを実行するという組織ではないんです。自分の信念を大切にしながらその上で「まちのためにやる」という選択をし続けられる人が、この仕事には向いているかな。

森山 2022年度から、神山校はコミュニティスクールとして新たにスタートを切ります。また4年目を迎え、ほぼ定員いっぱいになった寮ではいよいよ本格運営が始まります。目の前の一人ひとりに向き合いながら、日々を重ねていく。そんな手触り感のある仕事をしたい方に来ていただけるといいなと思います。

2月の滞在プログラムでは、神山町のエネルギーを感じてもらいながら、まちにいる様々な人たちと出会う時間にしてもらえればと思っています。

実は2年前に同じ募集をかけたときも、同様の丁寧なプロセスを踏んでいますよね

秋山 私と梅田が、それで採用されています。私は3年前、東京在住で転職活動中だったんですよね。前から気になっていた神山町に遊びに来るタイミングで、この採用プログラムを知って申し込みました。まちの有名な場所の視察も面白かったけれど、印象深かったのは、自由散策の時間に神社で出会った地域のおばちゃんでした。よそ者の私に、まちのことを楽しそうに話してくれた。役場の人でもない、一般の地域の人が、まちのことを熱く語れるってすごいことですよね。

その後、移り住んだ直後に近所の人と挨拶した時も「で、住むんは、半年の予定か?1年か?」って言われて(笑)。長期で縛らずに若い人を受け入れる自由な感覚も素敵で、このまちで挑戦したいと思った。気づいたら移住して4年目ですね(笑)。

 

 

募集要項

募集職種 一般社団法人神山つなぐ公社
ひとづくり担当
雇用形態 常勤職員
給与・待遇 月給22〜35万円(経験・スキルを考慮して決定)
・賞与年2回時間外手当
・各種保険(健康保険、雇用保険等)
・家賃補助・交通費補助有り
・退職金有り
・研修費補助有り(担当領域の学びを伸ばすために、個人に研修費を割り当てています)
応募資格 ・2年以上の社会人経験
(子ども・若者と関わる仕事やプロジェクトマネジメントの経験がある方歓迎)
仕事内容 ・寮の現場運営、マネジメント
・寮生募集の広報、体験プログラムの企画・実施
・中学・高校の地域連携授業の企画・調整
・コミュニティスクールへの伴走
・中高生向け国際交流の企画・実施
・その他地域交流・教員研修等の企画・支援
※ 上記は一例です。ご自身の関心や得意分野をお聞きしながら、ほかのメンバーと相談の上、仕事の担当を決めていきます。
勤務時間 ・週5日勤務 8:30〜17:15(休憩12:00〜13:00)
※ 寮勤務(週2) 夕勤シフト:16:45〜翌朝9:00  宿直シフト:22:00〜6:30(宿直時間22:00〜6:30)
※ フレックス制
・夏季休暇、年末年始休暇、有給休暇
勤務開始予定 2022年4月(応相談)
こんな人と働きたい 多様な人と関わり合いながら活動や仕事を生み出していくことに関心がある方
・物事に対する好奇心があり、変化への柔軟性がある方
・「まちを将来世代につなぐプロジェクト」やあゆハウスの方針に共感し、学校・行政と連携したこれからの地域教育の実現に、楽しんで取り組みたい方
・高校生やスタッフに関心を持ち、管理や指導といった関わり方ではなく、対等に関わることができる方
・自立してプロジェクトを進めることができる方
採用人数 若干名

応募について

募集に際して私たち(神山つなぐ公社)が大事にしているのは、実際に来ていただき、神山の土や水に触れ、人に会い、まちの様子も感じてもらいながら、よい出会いを互いにあきらかにしていくことです。
この求人に関心のある方は、2月上旬の滞在プログラム(2days meeting)にお越しください。
※ 本求人に応募希望で2days meetingへの参加が叶わない方は、フォーム内「その他」欄にその旨ご記入ください。


【教育プロジェクト2days meeting 概要】
 ・定員 6名程度
 ・参加費 無料
  *交通費・宿泊費・食費別途。宿泊費・食費は現地で各自精算です
   参考:宿泊費 9,000円程度 食費(1日目昼・夕食、2日目朝・昼食) 6,000円程度
 ・開催  2021年2月11日(金)〜 2月12日(土)
 ・宿泊施設 WEEK神山
 ・主催 神山つなぐ公社(担当:森山)

 申し込み方法 
 下記の申込フォームにアクセスの上、必要事項をご記入ください。
 *締切:2021年1月24日(月)
 ご応募多数の場合はフォームの内容をもとに選考を行い、1月27日(木)中に結果を連絡します。
 申込フォーム▶︎ https://forms.gle/fRsFD6UFXMw3vcUU9

 2日間の流れ
 ● 2/11(金)
  13時頃  集合/まちの散策、鮎喰川コモン・あゆハウス見学
    18時   宿にチェックイン(WEEK神山)
    18時半  夕食、「神山の創生戦略」(神山つなぐ公社 馬場達郎)

 ● 2/12(土)
  9時  「高校プロジェクトの現在地」(教育コーディネーター、神山校教員)
        「食農教育の動き」(フードハブ・プロジェクト 樋口明日香)
    12時  昼食
    13時半 求人について、語り合い 
    17時頃 クロージング、解散

*上記はスケジュール案です。状況に応じ組み替える場合があります。あらかじめご了承ください。
*参加される方には神山町の概略(サテライトオフィス誘致、移住支援、神山アーティスト・イン・レジデンスなど)の動画を事前にご覧いただきます。
*現時点で応募を悩んでいらっしゃる方も2days meetingへの申し込みは可能です。

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参考URL神山つなぐ公社&メンバー紹介
高校プロジェクト映像|耕作放棄地の再生と利用
寮スタッフ採用記事|高校生たちと、日々の暮らしをつくる
地域留学中の高校生インタビュー記事|神山への地域留学2年目。「今、感じていることを言葉にするのがもったいない」
国際交流プロジェクト実施報告|海外ツアーin Kamiyama イタリア編
神山町創生戦略・人口ビジョン「まちを将来世代につなぐプロジェクト」
公社代表インタビュー記事|神山つなぐ公社・新旧代表理事が考える、まちのこと「元気な集落が増えていくと、すごく豊かなまちになる」

 

求人に関するお問い合わせ
 TEL 050-2024-4700
 MAIL hitozukuri-recruit@tsunagu-local.jp 
 神山つなぐ公社(担当:森山)

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