「結い」結いブックのご紹介
なんでも2014年3月18日
NPO法人グリーンバレー、『結い』担当の田中です。
今年は3月になっても雨雲からしめった雪が落ちてくる日があり、そこまでやって来ていた春のきざしがどこかへ立ち去ってはまたゆっくり戻ってくる、そんな足踏みを2月の終わりごろからくり返していましたが、
ようやく梅のつぼみがいっせいにほころびはじめ、やわらかな音色なのに力強くてよく響くウグイスの「ほーーー、ほけきょっ!」があちこちから聞こえるようになりました。長かった冬がようやく終わり、神山でもたしかな春の訪れを感じる毎日です。
さて、ご参加いただいている皆さま、そして応援してくださっている皆さまのお陰で順調に進んでいる『結い』。
本日は、<結いブック>を中心に、『結い』の近況をご紹介させていただきます。いつも通りながーい記事になりますが(笑)、ぜひ最後までお付き合いください。
※『結い』の概要はこちらをご参照ください。
昨年10月(1期)、および12月(2期)からはじまった『結い』。現在、1期は3回目、2期は2回目の<おすそわけボックス>の発送へ向けて準備を進めているところです。農閑期明けで、まだ作物は少ないのですが、山菜、菜の花、つぼみの付いた桜の枝など、ペアになった都会のご家族へ春を感じる<おすそわけボックス>をお届けするために、皆さんいろいろと思案してくださっています。
そんな中、本日ご紹介するのは、<おすそわけボックス>とともに、神山のおじいちゃん・おばあちゃんと、都会のご家族の間を行ったり来たりしている<結いブック>。
『結い』の参加者の皆さまは、<おすそわけボックス>を送ったり・受けとったりするだけでなく、<結いブック>という『結い』特製の交換日記帳を通じて、自己紹介をしたり、近況を報告しあったりして、ゆっくり交流を深めてくださっています。
その中から、本日は2組のペアの方の<結いブック>をご紹介させていただきます。(※記事を書くにあたり本ブログへの掲載許可をいただきました)
まず1組目は、東京都杉並区にお住まいの高部さんご一家と、神山町江田(えた)地区にお住まいの西森さんご夫婦の<結いブック>です。
お互いのご家族の自己紹介ページ。
左ページが高部さんご一家、右ページが西森さんご夫婦です!
西森さん(奥さま)は文章を書くのは苦手で・・・と仰っていたのですが、悩みながら、考えこみながら、高部さんご一家のことを想像して、ひと文字、ひと文字、「ことば」を紙に刻みこむように書いてくださいました。冬の陽光が射しこむ食卓のテーブルで、鉛筆をにぎりしめて静かに紙に向きあうそのお姿は、どこか「祈り」にも似た雰囲気があって、私はそばにいてとても感動しました。
そんな西森さんご夫婦がお住まいになっている江田地区は、春になると棚田一面をあざやかに彩る黄色い菜の花で有名な山あいの集落です。
写真中央の窪地のように見える地区です。
背後には四国を東西に貫く急峻な四国山地がそびえています。
かつて、「江田」は「恵田」と書いたそうで、昔から豊かな田んぼがこの集落で営まれていたことがわかります。あるいは山あいの厳しい土地ゆえ、「お米に恵まれますように」という当時この集落で暮らしていた方たちの切なる願いがこめられていたのかもしれません。「ええ田(良い田)」が訛って「えた」になったという言い伝えもあるようです。
そして次の写真は、左ページが、高部さんご一家が書いて(描いて)くださった<おすそわけボックス>の感想です。右ページは西森さんご夫婦からのお便りです。
こちらは、その後、杉並区のことや、奥さまのお腹の中にいる赤ちゃんのことなど、高部さんご一家が書いてくださったページです。
こうして徳島と東京の間を<結いブック>が行き来することで、二つのご家族がゆっくり縁を深めてくださっています。
西森さんは、<結いブック>が東京に行っている間、高部さんご一家の顔が見られなくなるからと、土間の壁に<結いブック>の高部さんの自己紹介ページのコピーを貼ってくださっていて、集落の方やご友人がお家に来られた際に、いつも高部さんご一家のお話をされるそうです!
そして2組目は、奈良県にお住まいの中西さんご夫妻と、吉野川市山川地区にお住まいの尾形さんご夫婦の<結いブック>です。
お互いのご家族の自己紹介ページ。
左ページが中西さんご夫妻、右ページが尾形さんご夫婦です!
尾形さんご夫婦がお住まいの吉野川市は、神山町から山をひとつ越えた吉野川流域にあります。ご夫婦は神山にご友人がいて、昨年、担当の私が神山で偶然お会いした際に『結い』のお話をさせていただいたところ、ご参加いただけることになったのでした!
尾形さんご夫婦は、吉野川流域に広がる大きな平野がやがて山地へと地形を変えはじめる、ゆるやかな丘陵の起伏が美しい里山地区にお住まいです。焼き鳥屋を営みながら、ご主人は猟師でもあり、なんとプロの演歌歌手(!)でもあります。
そんな尾形さんご夫婦と、奈良県からご参加くださっている中西さんご夫妻の<結いブック>のご紹介です。
まずこちらは、尾形さんご夫婦が<おすそわけボックス>を送る際に書いてくださったページです。
ご主人が仕留めたイノシシの写真もありますね。その下にはコブシをきかせている凛々しいお姿も!右ページは奥さまが<おすそわけボックス>に入れたお野菜について、おすすめの食べ方などを詳しく書いてくださっています。
こちらのページでは、ご自宅裏の雑木林のことや、食べ物をもらいに奥さまの手の上にやってくる野鳥のことなど、暮らしのひとこまを写真でご紹介くださっています。
そしてこちらは、中西さんご夫婦が返信として書いてくださったページです。<おすそわけボックス>を開けたときのお写真も貼ってくださっていて、近くにお住まいの妹さんご家族も登場してくださっています。
そして、こちらのページでは、ご夫妻のお母様も届いたお野菜を調理してくださったことが、お写真つきで綴られています。
最後は、ご主人が徳島の食材を頬ばっていらっしゃるお姿、そして以前ご夫妻で四国をご旅行されたときのことを書いてくださっています。
<おすそわけボックス>を受け取った中西さんご夫妻が、届いたたくさんのお野菜をご家族にもおすそわけしてくださったことで、こうして家族ぐるみでの交流が始まったことを、尾形さんご夫婦はとても喜んでいらっしゃいます!
さて、ご紹介させていただいた二組のペアの方の<結いブック>、如何でしたか?
紙幅の関係もあり、今回は他の参加者の方の<結いブック>はご紹介できませんでしたが、どの<結いブック>も、とっても個性的で、それぞれのペアの方が、それぞれのペースで、「結い」を深めてくださっています。
図工をするように、楽しく、遊びながら、写真を貼ったり、絵を描いたりしてもらえたら・・・そんな思いでスケッチブックのような造りにした特製<結いブック>。事務局の想像以上に、参加者の皆さまが<結いブック>を育ててくださり、書き込まれたページが厚みを増すたび、充実していくその内容に、とても感激しています。参加者の皆さま、本当にありがとうございます!
『結い』のこと、神山のこと、またこちらでご報告させていただきます。長い記事に最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
(おまけ)
先日、『結い』の参加者の方を対象とした<神山里帰り>ツアーのパンフレットを準備していたのですが、<結いブック>の趣旨をよくご理解くださり育ててくださっている参加者の方々へのお礼として、そして、皆さまの楽しそうな<結いブック>のページに刺激されて、手作りの特大パンフレットを作りました!
紙は徳島産の手すき和紙を使っています。
大きさは模造紙くらいあって、パンフレットというよりポスターです(汗)
高速道路は混むし、飛行機はチケット代が高い…、そんなゴールデンウィーク中の開催となってしまい恐縮ですが、ご都合がつきましたら、『結い』のペアのお相手に会いに、ぜひ神山にお越しくださいね。お待ちしています!
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コメント一覧
回を重ねるごとに進化していますね。素晴らしい!
2014年3月18日 16:30 | 大南 信也
>大南さん ひとえに、参加者のみなさまと、応援してくださる皆さまのお陰です。感謝しかありません!
2014年3月18日 17:00 | 結い
この記事、書くのに相当時間を要したでありましょう。 ごくろうさまです。 ポスターもアーティステックですごいです。
2014年3月25日 12:42 | ニコライ
>ニコライさん コメントをくださり、ありがとうございます! 毎回、長さ、だけが取り柄(欠点?)の『結い』の記事です(笑)。
2014年3月25日 15:46 | 結い