スズメバチと紙袋・その2

なんでも2017年10月1日

西村 佳哲

投稿者:西村 佳哲

9/8に書いた「スズメバチと紙袋のこと」を読んで、友人から便りが届きました。
スズメバチと言えばこの人、フクちゃんこと熱田安武さんより。

「今回の件、紙袋を理由に営巣をやめた可能性は、限りなく低いと僕は考える。」
「理由の一つは、スズメバチが営巣をやめることは頻繁にある、というのが一点。また、スズメバチが並んで営巣する様子をしょっちゅう目にするからです。」

添えられてきた写真(上)。この横に紙袋も吊して…じゃなくて。こんなラスボスに取り組んできたんだな。彼は「蜂獲り師」で「罠猟師」。岡山の山間で暮らしながら、「あつたや」という屋号で営んでいる。

「真似した人が(紙袋のこと)巣の近くに設置しようとした際に、振動等の刺激を与え、刺される方が増える可能性が高いと思いました。」
「うちの近くでも、66歳の方が先日刺されて亡くなりました。刺傷被害がないことがいちばんです。」


僕が初めて会ったのは、彼が高知の大学生だった頃(8年ほど前)で、その頃から毎日のように海へ山へくり出していた。採ってきたタコやうなぎ、スズメバチの幼虫、いろいろ振る舞ってもらった。
手に職を付けているから、インターネットがあれば出来る仕事だから「どこでも生きてゆける」なんて話でなく、それ言っていいのはこういう人だよなと思ったものです。周囲の環境から恵みを取り出せる人。世界中、どこへ行っても楽しめるだろう。

高校性や大学生だった彼が、探り探りこの道に入ってゆく過程の物語が僕は好きなんですが、その世界に興味があれば『これ、いなかからのお裾分けです。』(南の風社・2010)を読むとよいかも。当時彼が通っていた大学の先生や周囲の大人たちから「絶対に本を書け!」と言われ、卒論のように書き上げた1冊だったと思う。
 

スズメバチと紙袋の話に戻ると、先の写真でフクちゃんは指先に乗せていますね。ドキドキ。白いヒモがついているのが見えるので、飛ばして追いかけて、巣を見つけにゆく場面だろう。顎をカチカチ鳴らして威嚇してくるスズメバチを、バトミントンのラケットでバシバシたたき落としながら前進するという彼ですが(居合わせたことはない)、今回伝えてくれたメッセージは、「怖いものは、ちゃんと怖がらないといけない」ということだと思いました。

少なくともある程度発達してしまった巣については、紙袋はなんの役にも立たないと僕も思う。専門家に頼むか、あるいはジッとやり過ごすしかないでしょう。冬までには必ず収束する。
喜びのあまり「紙袋が効いた。ということを全世界に伝えたい!」と書いたけど、本当に効いたのかどうか、その因果関係は定かでないので注意してください。
 

うちは春先(4〜6月頃)に、人の居住域から少し離れたところにスズメバチトラップを設置します。越冬した女王蜂が単身で巣づくりを始めるので。彼女たちには申し訳ないけど、我が家の周囲についてはその時点で営巣の可能性を低くしておく。ここ2年ほど、それで事なきを得ている。
このトラップは夏頃に設置してもあまり意味がない。前回「すこし遅い気がする」と書いたけど、本来9月は新しい巣をつくるタイミングではないはず。なにか諸事情があったのか。

つまるところ私たちはスズメバチについて、よくわかっていないんですよね。

以前、自然教育分野の友人が薦めてくれた本に、『風の中のマリア』(講談社文庫・2011)があります。あるスズメバチの一人称で書かれた物語で、彼らの世界の様子が、季節を追ってよくわかる。

作者はくだんのあの人ですが、小説そのものは読みやすく、スズメバチの世界の描写も精緻。このひとナチュラリストだったの? と思いながら読み進み、最後「このシーンを書きたかったか…」という場面に至ります。ご一読を。:-)
 

西村 佳哲

西村 佳哲

にしむら よしあき/1964年 東京生まれ。リビングワールド代表。働き方研究家。神山つなぐ公社 理事。武蔵野美術大学卒。つくる・書く・教える、大きく3つの領域で働く。著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『増補新版|いま、地方で生きるということ』(ちくま文庫)など。

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コメント一覧

  • 1の記事から読み進め、 こちらの記事も見たから、袋つるのしませんが、 1の表記が独り歩きし始めているように感じています。シェアされているところからシェアされています。 その事実をお伝えしたくコメントしました。

    2017年10月1日 12:43 | りん

  • そうみたいなんですよね。友人のSNSから大きく広がったようです。 それでこの記事を書きました。 いま、熱田さんに確認をお願いしているところで、 終わり次第、同じルートで火消ししようと思っています。

    2017年10月1日 12:57 | 西村 佳哲

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