神山町役場でのインターンシップを終えて②

学び2019年11月6日

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投稿者:なかがわ まほ

こんにちは。

神山町役場インターンシップでお世話になった中川です。

前回の投稿に引き続き今回は私が調べたり、いろんな方にお話を伺ったことなどを具体的にまとめて報告します。

 

私が神山町の子育て・学生支援策について調べる中で気付いた特徴は3つあります。

  • 神山町の子育て・学生支援策は充実している
  • 給食費の無償化は全国的にみても先進的である
  • 町全体で子どもを見守る環境がある

ではまず、神山町の子育て・学生支援策をまとめると、次のようになります。

神山町のホームページに載っているものだけでもこれだけありますが、この中からいくつか詳しく説明します。

 

「小中学校入学準備助成」は、入学時に必要なものを準備するため「3万円」が助成され、「教材教具実験実習材料費助成」は学校で使用する教材を購入するための費用として小学生一人当たり「1万2千円」、中学生一人当たり「2万5千円」を学校に助成する制度です。

学校の先生にお話を聞きに行った時、先生方は「県内いろんな学校で勤務をしてきましたが、こんなに充実している町はなかなかないよ」とおっしゃっていました。

 

また、「国際交流プロジェクト」は今年3回目を迎えたプロジェクトですが、これについては以前IN神山に記事を載せているので、ぜひこちらをご覧ください。

田舎というとどうしても閉鎖的な感じがしそうですが、神山町は開かれていて、中学生の時から国際交流ができるチャンスがあるのはとても恵まれているなあと思います。

 

あとは、「高等学校等通学費助成事業」で町外の高校に自宅から通った場合、定期代の半額を補助してくれたり、城西高等学校神山校に通う町外の学生の定期代の1/3を助成する制度もあります。

さらに、「奨学金資金制度償還の特例」では将来、神山町に定住すれば町から借りた奨学金の返還が免除されます。

 

このように様々な子育て・学生支援策がありますが、私はその中でも特に「給食費の無償化」に注目しました。

(出所)徳島新聞

神山町では2018年4月より小学校・中学校の給食費と、保育所の主食費の無償化を実施しています。小学校と中学校の両方を無償化したのは県内では神山町が初めてでした。

 

私は「給食費の無償化」について調べる中で、そもそもどれくらいの自治体で給食が行われているのか気になったので、調べてみることにしました。

(出所)文部科学省

このデータから、神山町のように小学校・中学校の両方で給食を実施しているのは92.4%で、ほとんどの自治体で行われていますが、実施していない自治体もあることが分かりました。

 

では次にどれくらいの自治体で給食費の無償化を実施しているか調べてみました。

(出所)文部科学省

小学校・中学校の両方で無償化を実施している自治体はたったの4.4%でした。このデータは2017年度のものなので、この4.4%の中にはまだ神山町は入っていませんが、全国的に見ても給食費の無償化は広まっていないということがわかります。

 

次に、給食費の無償化によってどのような効果があるか考えてみました。

一番大きな効果は、保護者の経済的負担が軽減されることです。また、学校側では、先生の集金業務が減り、授業の準備などの本来の仕事に集中できるようになりました。今まで給食費の集金は学校の先生方が業務外で行なっていて、給食費がなかなか支払われない場合は、先生が自ら家庭に赴くこともあったそうです。そうした先生の負担が軽減されることによって教育の質も上がるので、その教育を受ける子どもにも良いことがあるという流れが生まれます。

 

他の自治体ではそもそも給食を実施しているのか?していないのか?というところに注目されますが、神山町はその一歩先である「無償化」を行なっていて、他の自治体と比べても先進的で、神山町の子育て・学生支援策の大きな特徴・アピールポイントにもなると思いました。

 

 

また、子育て・学生支援策ではないですが、神山町の保健師さんについても注目しました。

 

神山町の保健師さんは「新生児訪問」や「乳児訪問」に加えて必要に応じてその都度家庭訪問を行なっているそうです。

さらにとても驚くことですが、保健師さんは町の子どもたちの名前や誕生日なども覚えているとのことでした。名前や誕生日が分かっていると、例えば「お子さんもうすぐ1歳になるのでこういう検診・予防接種受けてくださいね」と年齢に応じた的確な案内ができたり、発育に関する相談もスムーズに対応できます。また、訪問によって顔を合わせるうちに信頼関係もつくられてくるので、保護者も育児に関する相談をしやすくなるようでした。これは町の規模が小さい神山町ならではのことであるし、こうして町が保護者と子どもたちを見守る環境があるので、安心して子育てができるのではないかと思いました。

 

 

このように、インターンを通して神山町の子育て・学生支援策は豊富で特徴的なものがたくさんあることがわかりました。

 

都会では今、待機児童問題が深刻ですが、子育て支援を打ち出そうとすると高齢者世代等からの批判が多く寄せられる都市もあるそうです。

神山町は高齢者の割合が50%を超えていて、町のほとんどがおじいちゃん・おばあちゃんですが、給食費無償化についてはそういった批判はなかったとのことでした。おじいちゃん・おばあちゃんたちも町の子どもたちのことを考えてくれているからこそ、支援策も充実しているのだろうと思います。

私も小さい時は町のおじいちゃん・おばあちゃんに見守られ、愛情をたくさんもらって育ちました。こういう町の雰囲気も子育てがしやすい環境の一部を担っているのではないかと思っています。

 

今回のインターンを通して町を今までとは違った角度から見ることができたし、神山で暮らしていた時のことを思い出しながら、また、ここ最近の町の新たな動きを知ることもでき、改めて神山町のことを「良い町だな、神山に生まれてよかったな」と思うことができました。

 

今、神山で生活しているみなさんは、これが当たり前のことだと思いますが、一歩外から見ると支援策も充実していて、温かい人がいて、子育てしやすい町の雰囲気があって、とても魅力的な町であることをここで再認識していただければと思います。

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なかがわ まほ

1998年生まれ。神山町下分出身・在住。神戸、徳島市、島根県海士町経由で2023年にUターン。現在はNPOグリーンバレーの移住交流支援センター担当です。

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コメント一覧

  • 記事 お見事! 町長 はじめ 役場の 関係部署の方々は、大変お喜びになっていると存じます。

    2019年11月11日 23:33 | ニコライ

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