「神山キウイをたのしもう-着る・食べる-」染物と料理の1日 [手でつくる教室#30 開催レポート]
なんでも2019年12月19日
気づけば12月ももう後半!今年もあっという間に過ぎ去ってしまいそうですね。普段はゆったりと時間が流れるように感じられる神山の町も、仕事に大掃除に忘年会に・・・と、いつもとは違うムードです。
そんな日々を少しさかのぼり、12月1日の日曜日のこと。鬼籠野(オロノ)地区にある「すみはじめ住宅 西分の家」で、「手でつくる教室」を開催しました。
手でつくる教室 第30回 「神山キウイをたのしもう -着る・染める-」
「手でつくる教室」は、神山のつくり手を先生に迎え、ものづくりをたのしむ教室です。第30回目となるこの回では、「天然染料の染めもん屋 染昌(そめしょう)」の瀧本 昌平さんと、「café on y va(カフェ オニヴァ)」のシェフ 長谷川 浩代さんの2人を先生に、地元産のキウイを使った「染物」と「料理」2種類のワークショップを同時開催しました。
町の染物屋×シェフ。一体どんなコラボレーションが生まれたのでしょうか。企画の背景や先生の思いなども織り交ぜながら、「手でつくる教室」スタッフの西海が当日の様子をお届けします。
「食べる」教室:神山キウイをつかった3品の料理
まずは料理の様子から。「西分の家」のキッチンで①メインの肉料理、②サラダ、③デザートの3品をつくりました。長谷川さんと一緒につくるのは、【午前:料理、お昼:キウイ料理のランチタイム、午後:キウイ染め】を体験する「3品の料理とキウイ染め」コースのみなさんです。
開始からおよそ2時間後、出来上がったのはこんな品々。順番にご紹介します。
1品目はメイン料理。キウイソースで豚肉を煮込んだ「キウイのポーク煮込み」です。ドドンと1.5kgの肉塊を「ストウブ鍋」に入れ、薪ストーブで1時間半(!)グツグツと煮こみました。
このレシピでは、神山でよく目にする「あの食材」が隠し味に使われています。長谷川さん曰く、その食材の効果で味に一層深みが出て、お肉はより柔らかく仕上がるのだそうです。「隠し味の〇〇」、気になりますよね。・・・それは参加した方だけの秘密です!ふふふ。
2品目は「キウイとツナのジンジャーサラダ」。「ご家庭で作れる簡単なドレッシングづくり」を習いました。
野菜に添えられた半月型のキウイは酸味が際立ち、ドレッシングに仕立てられたみじん切りのキウイは酸味と甘さが混ざり合っています。切り方や使い方が違うだけで、こんなに違う舌触りになるなんて!コントラストがたのしい1皿でした。
そして、3品目はデザートの「キウイのクラフティ」。「クラフティ」というのは、酸味の強い果物と相性が良いフランスの伝統菓子です。お手軽なのに美味しいこの「クラフティ」のレシピに、料理コースの参加者さんからは「これから家でもつくれそう!」との嬉しい声も。
こうして仕上がった3品の料理(+オリーブオイルを混ぜ込んだごはん!)は、当日集まったみんなのお昼ごはんになりました。色鮮やかなお料理に舌鼓を打ちながら、長谷川さんと瀧本さんの日々の暮らしやものづくりについて伺ったり。ゆったりとしたランチ&お昼休みに、参加者の方同士の会話も弾みます。
神山で暮らしていると、夏にきゅうり、秋はサツマイモなど、ご近所の方からたくさん採れた作物をいただくことがあります。長谷川さんは、その時耳にする「いつも同じ食べ方になって、飽きてしまう」という声がずっと気になっているのだそうです。だからこそ「色々な味わい方を届けてワクワクしてもらえたら嬉しいな」と、バリエーションに富んだ3品のレシピを考案したと聞かせてくださいました。
「着る」教室:神山キウイの2色染め
一方の染物教室は、日差し暖かな西分の家の庭先で行いました。
まずは、鍋に刻んだ枝葉と水を入れて、薪ストーブで煮出すことで染料をつくります。ぐつぐつぐらぐらと煮込むこと20分。水の色がだんだん濃くなり、「キウイ染め」の「染液」が出来上がりました。
染液づくりの横では、模様を入れるための「絞り加工」をします。瀧本さんに相談しながら、出来上がりをイメージして、布を折ったり、ヒモで縛ったり。
草木染めでは、布を①草木からつくった染液の中で揉み込む、②水で洗い余分な色素を洗い流す、③空気にあてる。この3つの工程を繰り返し、好みの色の濃さに染め重ねます。そしてその後、④草木染めの色止めと発色のために行う「媒染(ばいせん)」という工程に移ります。このタイミングでどんな「媒染剤(ばいせんざい)」を使うかによって布と染液の間に起きる「化学反応」の種類が変わり、違った色に染め上がります。
今回の教室では、キウイでつくった1つの染液から2つの色をつくり出すため、午前は媒染剤に「ミョウバン石」を使った「アルミ媒染」、午後には「鉄くぎ」を使う「鉄媒染」を行いました。
染め上がった2色を見比べてみましょう。写真の左側が午前中に行った「アルミ媒染」で染めた糸、右側が「鉄媒染」で染めた糸と靴下です。どちらも簡単に「●色!」とは表現できない、深みのある色合いですよね。爽やかな黄緑色の実に、のびのびと育った深緑の葉っぱ……。そんなキウイの気配を感じる色だなぁと思います。
神山のキウイ、徳島のキウイ
教室の間には、参加者の皆さんから「阿南にあるおじいちゃんのお庭でキウイが実っていたよ」という声や、「昔、両親が箱いっぱいの徳島産キウイをお歳暮に送っていたのを見た」との思い出話も。神山に限らず、地元産のキウイを身近に触れてきた方が意外と多いことが分かりました。
ここ神山でキウイが採れるのは11月の中頃ですが、収穫後の追熟を経て市場に出回るのが冬のこと。このシーズンには、町内のスーパーやかまパン&ストアのほか、道の駅や神山温泉でも袋詰めで売られています。すでにちらほらと出始めた神山キウイ。これまで私はスプーンですくう食べ方ばかりでしたが、今年はよりたのしめそうな予感!まずはサラダに入れてみようと思います。
「神山キウイをたのしもう - 着る・食べる-」
最後に企画の裏側を少しだけお見せします。
これは、ある日の打ち合わせ風景。山の中腹にある瀧本さんの工房で、自生しているキウイを横目に打ち合わせをしているシーンです。
「作物が取れたり、ものをつくれる人がいたり。
そんな神山の魅力を詰め込んだような教室は開けないかな」。「地元で採れて、染めにも料理にも使える『季節の素材』って何だろう……」。
そんな会話を交わしながら、瀧本さんと長谷川さん、教室の運営チームで「あれでもない」「これでもない」と話し合って、選んだのが「キウイ」でした。すでに少しお伝えしましたが、実はキウイをつかった染物や肉料理は2人の先生にとって初めての試みだったのです。それぞれの試作を経て、「キウイでいける!」と最終決定。こうして、地元産の果物を実から枝葉まで余すところなくたのしめる教室が開かれたのでした。
瀧本さん、長谷川さん、そして参加者のみなさん、ありがとうございました!
つくり手の情報
【染めの先生】「天然染料の染物屋 染昌」 瀧本 昌平さん(染昌facebookページ)
【料理の先生】「café on y va」 シェフ 長谷川浩代さん(café on y va facebookページ) *2019/12/4(水)-2020/3/6(金)の期間、オニヴァは冬休みです。
●2人のプロフィールは告知記事をご覧ください。 https://www.in-kamiyama.jp/events/42999/
【神山キウイ】についてもっと知りたい方は、神山フードハブプロジェクト「活動日誌」へ。 http://foodhub.co.jp/daybook/1571/
・・・
手でつくる教室の映像ができました
2018年の冬。教室の先生をつとめた7人のつくり手の工房やアトリエを訪ね、日々の暮らしや神山でのものづくりについてお話を伺いました。ぜひご覧ください。
最近の手でつくる教室
・教室29「草木染めで自然の色をたのしもう 第10回」
・教室28「ワラーチをつくろう第3回」
・教室27「親子で神山杉の曲げわっぱのお皿をつくろう」
お問い合わせ
一般社団法人 神山つなぐ公社 「手でつくる教室」
tel . 050-2024-4700(平日9時-17時・担当:作田 祥介)
mail . tedetsukuru@tsunagu-local.jp
西海 千尋
こんにちは。西海千尋と申します。町の中では「ちーちゃん」「西海ちゃん」と呼ばれています。 神山塾9期生として神山に来ました。今は町のあちらこちらで、お仕事をいただいたり、いろんなことを教えていただいたり。 緑の山々、職人技あふれる木のお家、たくさんのつくり手に囲まれて、「神山町」を大きな会社に、日々を楽しんでいます。
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