【神山創造学・番外編】 伝える力としての「デザイン」

学び2020年2月21日

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投稿者:森山 円香

 

神山創造学では「伝える力」「協働する力」「深める力」を生徒のみなさんに高めてもらおうと、日々の授業をつくっています。普段の授業に加えて、不定期に開催される番外編もあります。(前回は6月
今回は身につけてもらいたい力のうちの1つ、「伝える力」のプロであるデザイナーの方から、伝える力としての「デザイン」について学ぶ授業をしよう!ということで、フードハブ・プロジェクトのロゴやパッケージデザインを担当しているグラフィック・デザイナーの石橋剛さんにお越しいただきました。

とても面白かったのでその日の様子を。

 

ゲストの石橋さん。

グラフィック・デザイナーという肩書きを伝える前に、「こういった風貌の方なのだけど、どういう仕事をしている人だと思う?」と生徒たちに尋ねてみたところ
「映画監督」「コーヒー屋」「ボスっぽい」などの声が・・・。(笑)

 

早速、デザインについてレクチャー。同じ言葉でもフォントや文字の色を変えるだけでも印象が全然変わる、といった話を具体例とともに。

簡単なレクチャーのあとは、実際に自分たちでロゴをつくってみることに。

写真は素材準備中のフードハブ・プロジェクトの樋口さん。色紙の置き方のセンスがさすが。(元小学校教員)

1年生は、授業で取り組んでいる「まめのくぼプロジェクト」(耕作放棄地を耕起して小麦栽培中)がお題。

2年生のテーマは、神農祭2020。フォントと色が異なるものがずらり。

グループをつくって、さぁスタート!
「ええ〜ロゴとか無理ぃ〜!」とか言いつつ、とにかく使えそうな材料を探す探す。

さすが農業高校生というか。考え込む前に手をどんどん動かす。取り掛かりが早いのに驚きました。

石積みをピンク系の色味で表現すると、やわらかい、やさしい印象に。面白いなー!

1年生のお題はキーワード(段畑、石積み、小麦、野焼き、など)を指定しましたが、
2年生は少し難易度を上げて、自分たちでキーワードを決めるところから。

最初にスダチをつくるチームが多かったり、青系の色紙はあまり使われなかったりと、全体の傾向も見えて面白い。

「まだ時間が欲しいーーー!」と叫び声が聞こえる中、心を鬼にしてタイムアップ。
完成した作品をみんなで見ながら、石橋さんに1つずつ解説してもらいました。みんなすごく集中して石橋さんのコメントを聞いてる。

優劣をつけるでなく、「上下から見えるレイアウトは実際の仕事でも使うことがあります」「顔は意識を引きやすい。赤ちゃんだったらきっと一番にこの絵を見るでしょう」「すごく細部にこだわって作ってたよね」「無意識かもしれないけど、線対称に配置していることで安定感が出る」などなど、それぞれの作品の特徴や個性を捉えて説明していく姿はぐっと来るものがありました。

また美大進学希望の生徒がいるチームでは、自分たちのロゴへの石橋さんが解説をしているときに、「すごい…伝わってる…」と感動の声が漏れ聴こえてきました。

 

最後に、フードハブのロゴやパッケージデザインのねらいを解説してくれました。普段目にしているものが、ある意図を持って考えて作られているんだということを実感した様子。

 

終わったあとの生徒たちの感想をすこしだけ。

「今日の授業を受けて一番面白いと思ったことは、同じ言葉でも字体や色を変えたり、イラストを組み合わせることでその言葉の印象がまったく違うとわかったことです。普段目にしているポスターなどもたくさん工夫して作られているのだと思うと、これからはもっと注意して見たいと思いました。」

「僕はいままでデザインにまったく興味がなく、商品などについているロゴとかあんまり見たことないけど、今回の石橋さんの話を聞いてデザインに興味がわきました。これから物を買うとき、ついているロゴとかどういう色の構成で作られているのかを見てみようと思いました。」

「飲食店で働いているので盛り付け方や皿の置き方にいまよりこだわってみようと思います。」

「自分の班は風景をデザインにしたけど他の班を見てみると全然違うやり方で表していて、色々ややり方があるんだなと思いました。デザインが違うだけで見方が変わるのでデザインをするのは面白いなと思いました。」

「神山はよくぼちぼちデザインしている人と会うので私もはたらくところにまよったら神山で絵をかきたいと思いました。」 (ぜひw)

「デザインはすごく個性の出るものだと思った。几帳面な人はすごく丁寧にやるし、大ざっぱな人は細かいことは気にせんし、すごく自分を表すものなんだなと思った。」

「フードハブの商品のデザイン、好きだなーと思っていました。1つ1つの良さをフォントや色でしっかりつかめているし、文章も読みたくなります。私は特にイベントのチラシが好きです。誰が作っているんだろうってずっと気になっていたんですが、今回デザイナーの方が来るって聞いてカミナリが落ちたように?うれしかったです。(略)きっとこれからは石橋さんのデザインを見るたびに、考えてみたり、何を伝えたかったのかなーと考えるようになるはずです。そのたびに少しだけうれしい気持ちになると思います」

・・・と、それぞれに受け取ったものがあった様子。ほかにチームでの共同作業が楽しかったという声も多かったのが印象的でした。

 

ふだん私たちの身の回りにあるものは、誰かがつくったもの、なんですよね。ふと目をとめて観察してみる機会が増えてくれたらうれしいな。
 

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森山 円香

岡山出身。 2016年4月〜2022年5月まで、神山つなぐ公社でひとづくり分野を担当。NPO法人まちの食農教育の理事をしています。 このまちに来て、石を積めるようになりました。(でもまだまだ)

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