【あゆハウス通信vol.15 】表面だけじゃなくて、ちゃんと理解したい。神山というまちも人も。

学び2021年5月20日

投稿者:あゆハウス

こんにちは!ハウスマスターの荒木です。

あゆハウスのインタビュー連載第3弾です。

今回は、神山校2年生の中野千代実さんにお話を聞きました。神戸で生まれ育ち、5人兄弟の末っ子である彼女は、出会った頃から受け答えがしっかりしていて、自分の意志を持った子だなという印象がありました。「新しいことが好き」と話す彼女は、悩みながらも常に前を向いて進んでいます。

そして、より神山を知って、自分のやりたいことを実現するために、今年の3月末からあゆハウスを出て、まちの中で下宿を始めました。そんな彼女に、地域留学をすることになったきっかけ、1年間過ごしたあゆハウス生活、アルバイト、下宿のことについてじっくり話を聞いてみました。

神山の地域留学は、また新しい展開が生まれ始めています。等身大の高校生の声を、ぜひお聞きください。

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荒木 まず初めに、神山に地域留学をしようと思った理由を教えてもらえる?

中野 その質問は答えるたびに言っていることが違う気がするんですけど(笑)、今振り返ってみて思うことを話しますね。

地元神戸の中学校で配られた「地域みらい留学フェスタ」のチラシを持って帰って、それを見たお母さんやお姉ちゃんが「これ、私が行きたい」と言い始めたことがきっかけです。

「高校どうしよう?」と思っていた中3の夏、学力のレベル的に勉強をすれば行ける高校を見ていました。でも、そこまで勉強する気力もないし、その高校に行って何かしたいということもなかったんです。それで、お母さんと地域みらい留学フェスタの大阪会場に行ってみたら、神山校のブースでさんちゃん(荒木)と目が合って、話を聞いてみて、その時のテンションというか、ノリで神山の地域留学体験2daysに行ってみました。

2daysに訪れてからは、イン神山などで神山やあゆハウスのことをずっとチェックしていました。あゆハウスの少人数で家族みたいな雰囲気や自然が綺麗なところ、神戸とのアクセスが比較的良いこと、在学中アルバイトができること、神山に行くたびに話をしてくれるスタッフの様子、サテライトオフィス等注目されている町の動きなど理由はいくつかあるけれど、まだまだ神山について分からないことが多かったからこそ、もっと知りたいと感じました。神山に来れば、新しいことがいっぱい知れるんじゃないかと思ったんです。 

地域留学体験2daysの様子

 

荒木 もっと知りたい、新しいことをしたいということが原動力だったんだね。

中野 そうですね。今振り返ってみると、「中3の夏ずっと遠くに行きたい、誰も自分のことを知らない場所に行ってみたい」と思っていました。人間関係もうまくいっていなかったわけではないけれど、グループの中で自分は「こういうキャラクターだよね」と決まっているのが嫌だなと感じることがありました。当時、自分のことがあまり好きではなくて、周りの人がいいという方に合わせていました。部活以外では自分の意見を言えず、みんなと違うことが怖かったんです。どこかで「一般的じゃないと」と思っていて、そんな自分を変えたかったんだと思います。当時はそこまで感じていなかったけれど、今はそう思います。

でも、振り返ってみると地元にいた方が楽だったかもしれません(笑)勉強や決まったことをやることは得意なので。神山に来て、答えがないことに取り組むことや自分で考えてやることは難しいことを知りました。でも、負けず嫌いな性格なので「自分もやらないと!」と思える環境があるのはありがたいです。

 

荒木 あゆハウスで1年暮らしてみて、特に印象に残っていることは?

中野 共用部でみんな集まって過ごす時間が楽しかったです。ぐるっとツアーとかイベントももちろん印象的だけど。各々が好きなことをしてたり、全員で騒いだり、そういう何気ない日常が本当に楽しかったんだなと今は思います。

あと、一緒に料理をする時間も好きでした。17時から夕食を作り始めるにあたって、最初は「やらなきゃ」と少し億劫になるんですけど、実際に始まると、ただ料理するだけじゃなくて、おしゃべりしたり、ふざけ合いながら料理をしたりするのが面白かったです。 

 

荒木 逆に大変だったことはなんだろう?

中野 生活する中で、当たり前が違いすぎることですね。自分が当たり前だと思うことに対して、相手に「え?なんで?」と反応されたり。それで、喧嘩することもありました。寮生それぞれに対して違うなとよく感じました。自分が大事にしたいと思うことがみんなにとっては違うことがあって、なんで自分はそれを大切にしたいのかということを伝えるのが難しかったです。相手が大事にしていることを理解するのも同じくらい難しいと気が付きました。

私自身、元々「表面だけじゃなくて、ちゃんと理解したい」と考える性格で、神山に来て「なんで?」と聞かれることが増えたこともあって、何に対しても理由や意味を考えることが増えました。

 

荒木 神山は話を聞いてくれる人が多いよね。「なんで?」と問いかけてくれる大人がいる。

中野 本当にそう思います。あと、人とぶつかったことで、だんだん「相手が大事していること」と「自分が大事にしていること」をお互いが理解をしていることが大事だということが分かってきました。受け入れる・受け入れないじゃなくて、理解すること。それが行動に出なくても、相手への捉え方や意識が変わることがあるということを学びました。

それと同時に、納得はできないこともあることも分かりました。「理解はできる、でも納得はできない」ことについて、ハウスマスターのごろちゃん(鈴木)に相談してみたら、「それでいいんじゃない?」と言ってもらって、ちょっと心が軽くなりました。

 

荒木  あゆハウスは、人との関わりを通して、自分のあり方を見つめ直す場になるよね。私自身も寮生との関わりを通して、気付かされることが沢山あるよ。

さて、毎朝学校前にアルバイトに行っている「かまパン&ストア(以下、かまパン)」は最近どう?

中野 ちょうど今日、かまパンの笹川さんと1on1ミーティングをやりました。普段ゆっくり話せないと分からないことも多いので、私にとって大事な場になっています。かまパンの状況も変わってきていて、新しいことにどんどん取り組んでいるので、いつも沢山話すことがあります。私自身ついていけていないこともあるので、現状を把握したり、自分のモヤモヤや思っていることを話したりしています。

かまパンでアルバイトをすることになったきっかけは、聞かれるたびに変わっているんですけど(笑)元々ものづくりやお菓子作りが好きだったこと、かまパンの商品が美味しいと思ったこと、自分が作ったものを売ることができたらすごいなと思ったことが理由です。入学前からフードハブの取り組みはいいなとは思っていました。

 

荒木 アルバイトをする中で、大変なところは?

中野 みんなすごすぎるんです。やっぱり周りは大人ばかりだし。普段から何でもやってみる人たちで、常に新しいことを考えていて、止まっていないんです。私もそれについていきたい、同じところに立ちたいと思います。一緒に働いている大人は、すごく楽しそうでいきいきしているんです。今まで企業に勤めている人って、仕事はしんどいもので、休みたいと思っているイメージでした。でも、かまパンの人たちは全然やらされている感覚がなくて、私にも「とりあえずやってみたら?」といつも言ってくれます。私はやる前にできない理由を探すくせがあるんですけど、アルバイトを通じて「とりあえずやってみよう」がもっとできるようになったらいいなと思っています。

 

荒木 とてもいいね。羨ましい環境だな。

中野 私も本当に恵まれているな~と思います。ちゃんと自分の仕事を与えてくれるんです。高校生だからバイトだからということはなく、同等に扱ってくれます。もちろん同じことができるわけじゃないけど。最初から最後までやらせてくれるので責任も出てくるんですが、私の話を聞いてくれて、親身になってくれる人がいるのはありがたいです。あと、フードハブには人生経験豊富な方が多いので、話を聞けるのがすごくおもしろいですね。

 

荒木 一人前に扱ってくれるのはすごくありがたい環境だね。それは、ちよみが任せても大丈夫だと思えるくらい努力しているからだと思うよ。

次は、今年3月末から始まった下宿生活について聞いてみたい。あゆハウスを出て、まちの中で下宿をしてみたいと思った理由は何だったんだろう?

中野 少しマイナスな理由から話すと、先程話した「理解はしているけれど、納得はできない」というところで、他の寮生と自分が大事にしていることが大分違っていたところもありました。共同生活だから、ある程度みんなに合わせることも大事ということは理解しているけれども、自分がしたいことを妥協したくない部分もありました。

前向きな理由でいうと、あゆハウスにいると「あゆハウスやから」ということで地域の人によくしてもらえたところがあるんですけど、あゆハウスという大きな看板がなくなっても、自分で関係性を作っていってみたいと思ったんです。コロナの影響であゆハウス内で過ごすことが多く、濃い1年だったし、飽きることはなかったけれど、新しいことがしたいとも思い始めました。神戸から神山に来たことで自分の考えが変わったので、さらに環境を変えることで、自分自身を変えていきたいと思いました。

 あゆハウスを出る前に思い出づくりで、岳人の森でキャンプをした時の様子。

 

荒木 下宿先はどのように決まったの?

中野 あゆハウスから下宿生を出すという話が出た時に、立候補をして繋がりのある中から自分で下宿先を探すことにしました。最初は、1年の秋に仕事体験でお世話になったB&B On y va&Experienceの齊藤郁子さんに声をかけさせてもらいました。郁子さんの考え方が好きで、仕事体験以外でも会うようになりました。郁子さんのところで下宿をすることは叶わなかったけど、郁子さんの仕事のパートナーである長谷川浩代さんとも知り合い、浩代さんのご自宅の空き部屋で下宿させてもらうことになりました。

 

荒木 実際に下宿を始めて1ヶ月ちょっと経ったけど、どう?

中野 郁子さんや浩代さんは、自分がやりたいことを自由に楽しくやっていて、こうしないとではなく、こうしたいからという感じで動いているように私からは見えます。実際に下宿を始めて、いろんな関係性のところに私も入れてもらいました。二人が今までいろんなことをされてきたから関係性も多く、そんな大人から話を聞くだけでも面白いです。浩代さんが「本当は何にだってなれたのになと今はよく思う。千代実ちゃんには希望しか感じない」と言ってくださいます。将来には不安が大きい私だけど、それを聞くと少しワクワクが強くなります。あと、浩代さんの料理がすごいです。普段からとても豪勢なわけじゃないけど、全然知らない食材や料理のちょっとした工夫を教えてくれたり。刺激が多いのでそれが楽しいです。

下宿先でお世話になっている方々からお誕生日お祝いをしてもらったときの様子。

 

荒木 それでは最後の質問。高校卒業までに神山でやりたいことは何?

中野 神山でもっといろんな人と知り合いたいです。町中で会って挨拶してもどういう人なのか、何をしているのか分からない人も多いです。少しは知らないと、その人を気になるかどうかも分からないので、話をたくさんしたいと思っています。広く浅い関係もいいし、深く付き合える人も欲しいです。まちの人ともまち自体とも関わりたいと思っているので、自分で自分の時間を作って、行きたいところに行こうと思っています。神山に来てここが変わったとか、神山に来たからこれができたということを作っていきたいし、これから出会ういろんな人に神山を説明できるようになれたらいいなと思います。だから、ちゃんと知りたいです。

あとは、神山を帰ってこれる場所にしたいと思っていますし、神山の人たちにも会いに来て欲しいと思ってもらえるような人になりたいです。代わりに、たくさんの人の中に私が残ったら嬉しいです。

それと、お互いの大事にしたいことを理解した上で「泊まりに来てもいいよ」と言い合える関係性を作りたいです。そんな関係性が世界中にできると楽しいだろうな。

 

荒木 「ちゃんと知りたい、理解したい」という言葉、千代実ちゃんらしいなと思った。これから千代実ちゃんがどんな風に神山で過ごすのか、個人的にとても楽しみです。

彼女の真っ直ぐな希望に満ちた言葉が、私にもグサグサと刺さり(悪い意味ではなく)、初心に帰ることの大切さを思い出させてくれました。ありがとう。あゆハウスにも引き続き遊びに来てね。

 

あゆハウスの新入生歓迎会で、寮生と下宿生が集まったときの様子。あゆハウスの規模もだいぶ大きくなってきました。

これまでのあゆハウス通信はこちら

あゆハウス

城西高校神山校の寮は、鮎喰川の「あゆ」をとって、「あゆハウス」と呼ばれています。 「あゆハウス通信」では、あゆハウスで暮らす高校生・ハウスマスターが日々の活動を定期的に発信しています。 「地域で学び、地域と育つ」をコンセプトに、神山でさまざまなことにチャレンジする私たちを温かく見守っていただけたら嬉しいです。

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