【報告】西分の家で、風の草刈りを習った!
住まい2023年9月27日
こんにちは、神山つなぐ公社の高田です。
西分の家で2回目の大地の再生講座を9月9日(土)に開催しました。教わった内容も、参加してくれた皆さんも、とってもよかった!ので、記憶が薄れないうちに、レポートにまとめたい、と思いながら、あっという間に9月末になってしまいました。
そもそもの開催のきっかけは、神山つなぐ公社で管理している、すみはじめ住宅「西分の家」の庭の水はけの悪さ。雨が降ると地面がぐちゃぐちゃになり、なかなか戻らないこと、その周辺に生える樹木、家やそこに住む人への悪影響も気になっていました。ここで開催したら、湿度の高さに悩む神山町民の皆さんにとっても、住まいの環境を改善していく良い機会になるのでは?と思ったのです。
第1回の講座(昨年11月)での大規模な溝掘りを経て、今回は大地の再生の要とも言える「風の草刈り」を学ぶことに。敷地内の草木が健やかに生長していくことで、水の浸透や風の通りを改善することができる。その上、草の生え方が落ち着いて、草刈りの大変さも軽減されるそう。一体どういうことなのでしょう??
そんな呼びかけに応えて参加してくれたのは、偶然ですが4名とも女性。神山町やお隣・佐那河内村に移り住み、自宅の周りの草刈りに苦戦してきた方々。そして、移住を検討していて家探しにきたタイミングという方も参加してくれました。
作業を始める前に、まずは敷地の様子の観察を。第1回目の講座では、中庭に大きな溝を掘り、家の周りの水や空気の流れを変えるきっかけをつくりました。その成果が出てきたのか、講師のお二人からは「すごく良くなってる!いいね!」とのお言葉をいただきました。
「草ぼうぼう」なだけに見えるかもしれませんが、あえてこの日のために、草を刈らずに残していたんです。見てもなかなか分かりづらいですが、地面のじめじめが減ったこと、草の葉っぱがいきいきしていること、そして吹き抜ける風の気持ちよさ、などが、改善の兆しでしょうか。変化を五感で感じることが大事だそう。
そしていよいよ、今回の講座のメインの「風の草刈り」。
普通の草刈りでは、地際でぴっちりと刈ることが多いですが、そうすると結果的に、地上部も地下の根も生きのびるためにさらに勢いよく伸びようとする。「風の草刈り」では、風で揺れる部分で刈る。そうすると、分枝やわき芽がたくさん出て、穏やかな生長になる、とのこと。
今回は「ノコギリ鎌で手刈り」する方法と、「刈り払い機を使う」方法の2種類を教えてもらいました。基本はどちらも同じ。
①草は風で揺れる部分・曲がる部分を刈る
②一様に平らに刈るのではなく、風の抜け道を作るように刈る
の2つが大事です。
①草は風で揺れる部分・曲がる部分を刈る
風で揺れる部分を見極めて刈る、というよりも、風が吹くように刃を当てることで、自然と切れる部分を刈る、という感じでしょうか?人が通る部分は強めに刈って、草丈を短めに。それ以外の部分は柔らかく刈って、草の勢いが落ち着くように整える、というイメージです。
ノコギリ鎌を使う場合は、右手(利き腕)だけで持って、スナップを利かせて払うように刈ります。親指と人差し指の2本でゆるく握る(弱)<中指・薬指も添えて握る(中)<5本の指でぎゅっと握る(強)と、握り方によって、刈る強さを変えることができます。
刈り払い機の場合は、どんな機械を使うかが大事で、講師のおすすめはこちら。風の引きちぎりを真似た粗い切り口になる「ナイロンコード」・高刈りしやすい「ツーグリップ(ループハンドル)式」・回転数を微妙に調整できる「バネで戻るタイプのアクセルレバー」がポイントだそう。前方をやや上向きに、草を舐めるように動かす、と現代農業には書いてありましたが、この辺りのコツは私は1回試しただけでは習得できませんでした…。
こちらがおすすめの刈り払い機。機種名を撮ることに集中して、全体像を撮り忘れました、すみません。(販売されているものは盤なので、自分でナイロンコードに付け替える必要があるそう)
②一様に平らに刈るのではなく、風の抜け道を作るように刈る
もう1つ大事なのが「どこに風の抜け道をつくるのか? 」 西分の家で実際に刈った場所を例に挙げながら解説してみます。
まずは地面がやや低いところ=水が通るところ(谷になっているところ)。前回溝を掘ったところがわかりやすいので、溝の中に入って、垂れてきている草を刈っていきます。ここの風の通りをよくすると、全体の風がぐっと動き出す感じがしました。
続いて、人がよく通るところ/通りたいところも、人が歩くことで草丈が低くなり風が通りやすいので、強めに刈ります。西分の家の正面から裏手に抜ける道・キエーロに続く道などを刈りました。
他にも風を通したいところ、「ここを抜いたら気持ちよさそうだな」と感じるところがあれば、刈っていきます。庭の隅っこの木が茂っているところ、ここから下の段へと風が抜けたら気持ちよさそうかな、と私が入り口だけを刈っていたら、講師のお二人はぐんぐん斜面を降りながら刈っていって。下からの風も気持ちよく通るようになりました。
ポイントは、一面を同じ草丈で刈って平らにするのではなく、ブロック状に風の抜け道を作って、その側面はカマボコ状に整えること。そうすると風が滑らかに、均等に流れ、かつ草の中にも一定の割合で風が入りやすいそう。全部を刈るわけではないので、今までの草刈りよりもぐっと短時間で、草が落ち着いた状態に整えることができそうです。午前中はほぼ観察と解説がメインで、実際に中庭でノコギリ鎌を使って、草を刈っていたのは小一時間ほど。そんな短時間で「もうこれでOK」と言われる状態になりました。
午後からは刈り払い機を持って、上の斜面へ。こちらもけもの道をつくるような感じで、風の抜ける場所をつくりつつ、伸びすぎたススキはかまぼこ型におさえていきます。
参加者の皆さんにも普段使っている刈り払い機を持参してもらったのですが、使い比べると違いが分かります。
順番におすすめの刈り払い機を使わせてもらって刈ってみたのですが、回転の速さの調節(アクセルレバーの引き具合)が難しく、すぐには習得できず。刈り方も、見ている分には簡単そうなのですが、やってみると、全部刈ってしまったり、中途半端な残り方をしてしまったり。講師の方に手直ししてもらいつつ、斜面をぐるっと一周、草刈りしました。
そんなこんなで、あっという間に1日の講座が終了。参加者の方からは「さっそく家の周りでも、このやり方で草刈りしてみたい!」「できたら次の機会には、私の家にも見立てにきてほしい」という喜びの声。と同時に「この草の刈り方を近所の人や大家さんにどう理解してもらったらいいんだろう?」という不安の声も。(はい、私もそれ悩んでいます!)
講師のお二人からは「実験してみているので、一緒に変化を見守ってください、というのはどう? ほったらかしているんじゃなくて、たびたび手を入れて頑張っている姿が見えたら、分かってくれるのでは?」とのアドバイス。なるほど〜。
何はともあれ、1回の体験だけでは、まだまだ風の草刈りを習得できたとは言えず、今回参加されなかった方にも伝授できるほどではないのが残念です。できれば次回の講座も、風の草刈りをテーマに開催したい、特に刈り払い機でのやり方をもっと徹底的に教われたらいいな、と現時点では思っています。
今回参加できなかった方も、ご参加してくれた方も、ぜひ一緒に学びを深めていきましょう♪
高田 友美
静岡県浜松市出身。神戸→東京→スウェーデン→滋賀を経て、神山に移り住みました。神山つなぐ公社では「コミュニティ・アニメーター」として、主に大埜地の集合住宅とすみはじめ住宅から始まるコミュニティ育成を担当。休みの日はノラ上手に励んでいます。
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