「学校の垣根を越えて仲良くなれるように」神山出身の大学生がひらいた、小学生の交流イベント

学び2023年9月28日

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投稿者:kuronaga

この夏、町出身の大学生たちが「学校の垣根を越えて、町内の小学生が交流する機会を作りたい」という思いをもとに、小学生を対象にしたイベントを開催しました。

神山町には現在、2つの公立小学校に加え、私設の小学校があります。各学校の児童の多くは神山中学校へ進学し、同じクラスメイトになりますが、すでにその経験をしてきた大学生たちは「(異なる小学校の子と)新たに関係を築いていく不安があった」と当時を振り返ります。

「不安を少しでも軽減できたら」という思いからイベントの目的として「神領小学校・広野小学校の垣根を越えた交流」を設定。さらに、同じ町内にいながらなかなか交わる機会のない、大学生と小学生の交流も目指しました。

どんな場を作るか?当日までに必要な準備は?子どもたちとどんな風に接するといいだろう?大学生スタッフにとっては、初めてのことばかり。それでも、一つ一つできることを積み重ねて迎えた当日。会場では、普段は異なる学校・教室で過ごす子どもたち同士や、大学生が混ざり合い、互いの名前を呼び、元気に駆け回る姿がありました。この場を重ねていった先に広がる光景を想像して思わずわくわくしてしまうような、とっても素敵な瞬間が溢れていた当日の様子を、写真とともにお届けします。

まだまだ真夏のような気温だった、9月2日の朝。
総勢7名の大学生スタッフたちは、会場である広野小学校に集まってきます。

実は、スタッフ全員が一堂に会して顔を合わせるのは、この日がはじめて。というのも、進学を機に、町外・県外で暮らしているメンバーもいるため、事前の打ち合わせは基本的にオンラインで実施していました。また、それぞれが学業や実習、アルバイトや就職活動など、日々の取り組みもある中での企画・運営だったので、企画の土台作りからがっつり取り組むコアスタッフと、当日サポートのみのスタッフと、関わりの度合いもさまざまでした。

そうは言っても、同じ小学校・中学校で過ごした同級生や先輩・後輩同士。顔を合わせてすぐはややぎこちなさもあった(?)ものの、あっという間に打ち解けていました。

「会うのは中学校の卒業以来!」と大学生同士が数年ぶりに再会するのを目の当たりにして、場があることで繋がり直すご縁もあるものだろうなあ、と大学生にとってこの場が持つ価値を考えさせられます。


▲自己紹介ゲームで使うカード作りや、小学生の迎え入れなど、チームごとに役割を分担。みんないい笑顔。

10:00からの本編スタートに先駆けて、1時間ほど開放されていたのが「自習室」。任意で宿題や自前のドリルなどを持ち寄って、勉強ができるように場を開いていました。「普段あまり年下の子と接する機会がない」とやや緊張気味に話していた大学生スタッフですが、本人の心配とは裏腹に、教えている時の視線や声かけはやさしく丁寧で、子どもたちもすっかり安心している様子。

神領小学校・広野小学校のそれぞれ1〜6年生、22名が集まり、いよいよ会が始まります。まずはお互いに「知り合う」ところから。「好きな動物は?」「好きなお店は?」と出されたお題に沿って、集まったグループごとに自己紹介をします。この時点ですでに、「あっち行こう!」と大学生の両腕を引っ張ったり、膝の上に座ったり「人見知りなんて言葉は知りません!」とばかりに年上のお兄さん、お姉さんに興味津々の子どもたち。この懐っこさは、神山で育つ子どもたちの共通点なのでしょうか?

自己紹介を終えたら、早速、お昼ごはんの準備に取りかかります。この日のお昼は「流しそうめん」。竹を切って組み立てるところからまるっと自分たちで準備します。「みんなでたのしくごはんを食べられるといいよね」と事前に話していた中で「じいちゃん家の山で竹を切って、流しそうめんができるよ」と、ある大学生が話したことをきっかけに実現しました。当たり前のように話していたけれど、山との距離が近い町だからこそできること。「竹を切るのも、組み立てるのも、できる」と話す頼もしい大学生スタッフが指揮を取り、竹取りチームで分担しながら流し台を作っていきます。

家庭科室では、調理班が野菜を洗って切ったり、麺を茹でて仕込みます。1-2年生の参加が多かった今回、大学生と同じく頼りになったのが少し年上の上級生たち。「こうやって切ったらいいよ」「危ないよ」と周りをよく見て、その時々に必要な声をかけてくれていました。「私がやる!」と作業の取り合いになりそうな時は、「じゃあ、次は●●ちゃんね」「1回やったから代わろう」と低学年の子も自分たちで話し合って分担する姿が印象的でした。

さあ、ひととおり準備ができたところでお待ちかね!ごはんタイムです。
流れてくるそうめんに夢中の子どもたち。ぶどうやみかん、たまーにうどんも流れます。ひと段落ついたところで、大学生もほっとひとやすみ。途中、流し台が崩れてしまう場面もありましたが、なんとか組み直し、みんなお腹いっぱいになるまでそうめんを頬張りました◎

おたのしみはまだまだ続きます!体を動かし、お腹を満たし、そろそろ疲れてくる頃かな?と思いきや、今度は校舎の中を走る、走る、走る。大学生と小学生とごちゃ混ぜで、鬼ごっこが始まります。この日はなんと、特別に!広野小学校の先生方に、校舎内で走り回る許可をいただいていました。普段は「廊下は歩きましょう」と言われるのに、今日はいくら走ってもOK!ということで、非日常感も合間ってみんな全速力で駆け回ります。


▲でっかいすだち頭の鬼から、逃げろー。

夢中で遊んでいるうちにすっかり夕方に。会の終了時間が近づいてきました。教室にみんなで集まって「今日はどうだった?」と感想を発表します。「ケイドロもう一回やりたい!2分でもいい!」と声を上げる子どもたち、それに押される進行役の大学生。一瞬「やる?」と揺らいでいましたが、時間の関係もあり今回はここで終了。「楽しかったひと?」の問いかけに、全員が手を挙げ、大学生もほっとした表情を見せ、会は閉じていきました。

企画を終えた直後には、大学生スタッフも感想を互いに話す時間を持ちました。一人ひとりがこの時間を経て、何かしらを感じたり、受け取ったりしていることがよく伝わってくるので、全員の声を紹介させてください。

●橋本幸奈(鬼籠野出身/大学3年生)
初対面の子も多い中で、大学生も小学生も、みんな難なくコミュニケーションが取れていて、すごいなって。それが、自分たち神山っ子の誇りというか、いいところかなって思いました。今回、当日に初めて7人揃って、これだけいいプログラムになったと思うので、次回は、企画の段階から大人数でやっていけたらもっともっといいものができるんかなって思いました。

●坂東真凜(広野出身/大学1年生)
私が小学生のときは、年上の人に積極的に関われるタイプじゃなかったので、始まるまでは仲良くできるかなっていう不安があった。でも、実際に関わると、子どもたちは「何歳なん?」って質問してきたり、距離の詰め方が上手で、それがすごく嬉しくて。「そんな風に話したら仲良くなれるんや」って、子どもたちの姿から人との関わり方を学んだ気がします。子どもたちのパワーに圧倒されました。今後も、こうやって神山の子どもたちと繋がる機会を作っていきたいです。

●森本謙信(広野出身/大学1年生)
前回は正直、子供たちに馴染むのに必死だったけど、今回は、始まってすぐに子供たちといい関係をつかめたというか、子どもたちの方からグイグイ来てくれて、自分も接しにいきやすかった。なんだろうな、僕の中で、そういう風に序盤に子供たちといい関係、いい感じになれたことがとても嬉しくて、もうそれだけです。もうそこからは、流れのままにというか、僕自身も、子供たち目線というか、今もあれですけど、子供だった頃を思い出しながら参加できて、すごい楽しかったです。

●矢武彩羽(広野出身/専門1年生)
ちっちゃい子が元気すぎて、なかなかついていけへんこともあったり、話していても他でわちゃわちゃしている時があったので、そういう時のメリハリを付けられるような接し方をまた考えていかなあかんなと思いました。でも、最後は「楽しかった?」って聞いたら、全員が手を挙げてたんで、めっちゃ良かったなと思いました。

●大林風太(下分出身/高専4年生)
僕は結構子どもたちに怖がられやすいタイプなので、参加する前はみんな離れていくんじゃないかと思ってました。でも、子どもたちは近寄ってきてくれてすごく嬉しかったし、いい経験になりました。知らない子と関わる機会ってすごく大事だと思っていて。その経験が、高校とか、大人になったときに生かされると思うので、今後もそんな機会がいっぱいあるといいのかなって思いました。

●高橋義雅(神領出身/大学1年生)
今回初めて参加させてもらって、自分が想像していた以上に子供たちが元気で、子どもたちの方からいっぱい絡んできてくれて、とても楽しかったです。大学生になると、低学年の子たちと遊ぶ機会ってなかなかないので、めっちゃいい経験になったと思います。

●後藤庵(広野出身/専門1年生)
今回参加してみて、子供たちはものすごく元気で、すごいと思いました。活動していて、気をつけなあかんなと思ったことは、子供たちの感情が高ぶってしまって、先に先に行こうとしたり、行動が活発になってワーッてなる瞬間があったので、そこの引き止めとかは十分注意しなあかんなっていうのを学びました。急にバーッて遊んでいる子もいたので、メリハリも大事だと思うし、言葉遣いもものすごく大切だと思いました。とてもいい時間でした。


同じ町で生まれ育ったり、暮らしていても、小学生と大学生が出会う機会というのはきっとそう多くないはず。進学を機に町外、県外へ出る人の多い神山町では、なおさらだと思います。でも、出会うことで生まれる状況や育っていく関係性があるのだと、今回の取り組みに伴走していて強く思いました。今年はこの夏の開催をもって活動終了ですが、来年、また来年、と場を持ち続けることで、今年生まれた関係がどう変化していくのか。想像すると、とてもわくわくしますし、わくわくする状況に繋いでいけるよう、必要な環境を整え、力をかけ続けていかなければいけないな、と、大学生たちの姿を見て背筋が伸びる思いです。

・・・

当日の様子は、神山町公式Youtubeチャンネル「かみやまch」にて映像でも紹介されました。子どもたちの表情や、場の雰囲気がより伝わってきます。ぜひ合わせてご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=ziiYqGSsnJo
 

このイベントは、まちを将来世代につなぐプロジェクト第2期の「ひとづくり」領域で始まった「助っ人大学生」の取り組みの一つです。

助っ人大学生とは、神山町出身の大学生が長期休暇の帰省時や、休日の時間を利用して、まちの子どもたちに関わる活動です。町外や県外への進学後も、神山町と関わりを持ち続けたいと思う大学生と、まちの中から放課後の遊び場や多世代で行う活動が減ったと憂う保護者の声から生まれました。

 

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kuronaga

くろなが ゆきの/山口県下関市出身。2022年春に神山へ移り住み、神山つなぐ公社に加わりました。

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