【報告】11/9-10 西分の家で大地の再生!

住まい2022年12月1日

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投稿者:高田 友美

こんにちは、神山つなぐ公社の高田です。

先日お知らせした西分の家での大地の再生講座
「参加できなかったけど、どんなことをやったの??」
「気になっている」「知りたい〜」と
複数人から声をかけてもらったので、レポートにまとめてみました。

そもそもの開催のきっかけは、神山つなぐ公社で管理している
すみはじめ住宅「西分の家」の庭の水はけの悪さ。
雨が降ると地面がぐちゃぐちゃになり、なかなか戻らないこと、
その周辺に生える樹木、家やそこに住む人への悪影響も
気になっていました。そして、神山の他の家でも
同じような状況で困っている人がいるはず!

講座の始まりは、参加者の自己紹介から。
平日開催だったので、人数は少ないですが、
いつも西分の家の草刈りをお願いしているメンバーや入居者、
徳島の南の方から興味を持って参加してくれた人も。

講師のお二人には、8月末に神山に来られた際に土地の見立てをしてもらい、
この場所では何を最優先で取り組むと良いのか、事前に検討してもらっていました。

講座を始める前の庭はこんな様子。

 

このあたりの環境を改善するために、
家の横のU字溝の終点から、庭の方向に
空気と水が流れるような溝をつくっていきます。

というわけで、まずは矢印の起点のあたりを
リースしたユンボで掘ってみてもらうと、
なかなか手強い固さ。出てきた土もなんだか
粘土のように固まって灰色をしています。

これは「グライ化」といって

湛水(たんすい)または排水不良により酸素が欠乏して土壌が還元される結果、
二価鉄やマンガンなどが生成して土層が灰色ないし青色に変化する現象
(出典:コトバンク

だそう。不健康な土の状態がかなり大きく広がっていることが分かりました。
そのすぐ奥、U字溝の終点の下の部分を掘ってみると…
銀色に鈍く光る水がじわじわと染み出してきました。

ちなみに、水が流れていく先(矢印の先のあたり)の土もチェックしてみると、
こちらはホクホクして良い状態。

さて、ここから溝を掘る作業はしばらくユンボにお任せします。

ちなみに今回は限られた人数かつ2日間である程度の形にしたい!
ということでユンボを使いました。が、これは外科手術のようなもの。
ちゃんとやればいい影響が見込めるが、間違った場所に掘ってしまうと
石積みが崩壊してしまったり、思いがけない悪影響もありうるので、
初心者の皆さんはむやみに真似してやらないでね、との忠告も。
やってみたい場合は、取り返しのつく範囲で、手掘りで少し掘ってみて、
どんな変化があるかな、と観察しながら少しずつやってみましょう、
とのこと。(外科手術と比べると、自分でできるマッサージのような感じ?)

さて、ユンボが溝を掘ってくれている間、他のメンバーは
掘った溝が水と空気を通しやすい状態を保つための資材を準備します。

事前に準備しておいたのは、竹炭と籾殻燻炭と古瓦。
(Special thanks to エタノホ&L'instant bonheur!)
さらに敷地内の樹木を剪定して、大小様々な太さの枝を用意します。
(ちなみに、大地の再生では「風の草刈り」「風の剪定」という
 素敵な技もあるそう。また、いつかの講座で習いたいですね)

切り取ったアングルが違ってわかりづらいですが、枝をためていっている上の樹木が、
すっきりと風通しがよくなっている感じ、伝わるでしょうか?

さて、そうこうするうちに、ユンボでの溝掘りが完了。
剣先スコップで、溝の底を整えつつ、水が流れるように高さも調整したら、
順番に資材を投入していきます。
基本は一番下に、竹炭と籾殻燻炭をまき、水や空気の通り道としての管を入れ、
枝葉を大小絡ませながら入れた上に、、砕いた古瓦ものせていきます。
(部分によって順番や入れるものが少しずつ違いました)

ただ溝を掘るだけでなく、いろんな資材を入れていくのは、
雨とともに山から流れ出してくる泥などをできるだけ濾して、
さらに水を地中に浸透させながら流していくため。

そして今回は、庭の部分に車が乗り入れることも想定して
部分ごとに仕上げ方を変えてくれました。

黄色い部分は、水と空気が流れ始めるところ。
間に入れる管は、コルゲート管のみで開いたままに。

車も通るオレンジ色の部分は、排水用のビニール管を入れて、
一番上に土を乗せて閉じます。

赤い部分には、排水用のビニール管と
空気の流れをさらに確保するためにコルゲート管も入れ、
基本的には開いたままですが、大きな石を最後に乗せて安定させました。

黄色とオレンジ色の結節点には「点穴」を掘り、
閉架部分に入る前に水の流れを緩やかにして、泥などを溜める工夫も。
必要があれば、溜まった泥をメンテナンスできるようにしました。

さて、溝を掘った周辺には、掘った土が盛り上げてあるので、
このままだと溝に泥が流れこんで埋まってしまいます。

川の流れのように、うまく本流の溝に流れ込むように
支流をつくりつつ、表面を整えていきます。
溝と同じく、炭をまき、枝葉を大小絡ませながら敷くことで
泥濾し作用と、土壌が安定して草木が根づくことを期待。

この辺りで2日目もだんだん日が暮れてきました。
最後に、家の裏側に空気を通すためにも、U字溝の蓋を
2〜3個置きに開けてみたら… あれ、なんだか風が流れ始めた!
次回はこのあたりの空気と水の流れ(青い線)に手を入れられるといいね、
と話しながら、2日間の作業を終了しました。

今回教えてくれた講師陣と参加者の皆さんと記念にパチリ。ありがとうございました!

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高田 友美

静岡県浜松市出身。神戸→東京→スウェーデン→滋賀を経て、神山に移り住みました。神山つなぐ公社では「コミュニティ・アニメーター」として、主に大埜地の集合住宅とすみはじめ住宅から始まるコミュニティ育成を担当。休みの日はノラ上手に励んでいます。

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