短期連載コラム/第3回「なんとも初々しい、コモンの新書たち。の香り?」

なんでも2023年10月13日

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投稿者:やすともゆうこ

今日も今日とて芝刈りタイム!やすともゆうこです。
今年はなんだか、自然が元気いっぱいです。
芝の成長は速く、生垣たちもぐんぐんと伸びる。
そんな彼らをお手入れしながら、「こんな勢いで伸びていけるなんて、お前たちはいいねぇ」などと独り言ちる。
日差しの中にわずかな夏の名残を探しつつ、秋の空気を吸い込みながら作業しています。
そんなわけで、鮎喰川コモン3周年記念・短期連載コラム、第3回。
まだ1と2は読んでないし、でもまぁ、読んでやってもいいんだけど?って可愛い人は下記からどうぞ。

Back number
第1回「私がコモンで出会ったもの。
第2回「司書になれなかった全ての大人たちよ、ここに集え。


まちのみんなのお手軽リラクゼーション。

あなたは、どんな香りが好き?
ある日の朝の、台所からかぐわしく香る、卵焼き?
登下校中にふと見上げるとそこにあった、秋の金木犀?
いやいや一番は、オシャンなバスボムだよって人もいるのかな。
私にはやっぱり…本の香りである。

本って実は、一冊一冊違う香りがする。
新しい本はなんだか若者のような爽やかさだし、古くなった本には年輪を感じさせる重みがある。
それらが集まって、不思議なことに一体化しているのが、図書館や新刊を並べる本屋、はたまた古書店だ。
場所ごとに結構違いがあるので、下記を是非、これからのルーティンにしてほしい。

入り口に入ったらまず立ち止まり、目を閉じる。
両手を少しだけ左右に広げ、下を向いてハーッと、体中の空気を抜いたら、
スーッと、鼻から一気に吸い込むんだ。
きっとその場の香りが正しく感じられると思うし、立派な変人の完成だ。
さらには、前後左右にいる誰かの邪魔にすらなる。やめよう。
と、ここまでは難しくても、コッソリとスーハーするくらいなら、まずバレない。
本の香りがなんだか好きかもというあなたには、お手軽なリラクゼーションだ。

ちなみにコモンは、杉の木の香りまでコラボレーションしてくるぞ。なんてずるい場所なんだ。
しかも、行きなれてくると麻痺してしまって、だんだんわからなくなってくる!すっごい悲しい!
というわけではじめが結構肝心なので、コモンに初めて行く人や、最近ご無沙汰だなと思う人は心してかかってほしい。
コモンに行って香りを感じるのも、まちの人にはお手軽なリラクゼーションかもしれない。


なんとも初々しい、コモンの新書たち。の香り

「コモンでであう、本と人。」
以前にもお伝えしたが、現在コモンでは「コモンの新しい本、大集合!」というイベントが開催中である。
コモンに入って左側、本棚の廊下を抜けると、あなたを待っている本達が居る。

今年選び抜かれてきた、47冊の新書たち。
「僕たち私たちは、いわゆる新入りではありますが、誠心誠意皆さんに読まれたいと思います!」
と、そんなことを言っているかはわからないが、なにやら初々しい様である。
どれもこれも魅力的な香りがする彼らの中から、いくつかピックアップしてレビューしたい。

エントリーナンバー①
「いらねぇけどありがとう/村井理子(CCCメディアハウス)」

甘さの中にツンとした酸味のある香り。
いらねぇけどありがとうというパンチのあるフレーズにふさわしい、強さも感じる。
村井理子さんの日常を切り取りつつ、全母たちが「あ~わかる~」となるライフハックが込められている一品。
ほんとThanks but no thanksだ。
ちなみに私も米を炊くのが嫌いだ。

エントリーナンバー②
「目であるく、かたちをきく、さわってみる。/マーシャ・ブラウン・文と写真、谷川俊太郎・訳(港の人)」

新書なのに、なぜか少し古書に近い香り。
それも、小学校の図書館みたいな感じ。なつかし。
私たちが産まれた時から、当たり前にそばにある《感覚》の使い方を、もう一度教えてくれる。
谷川俊太郎さんのひらがなって、なぜか見た瞬間わかるよね。凄い。

エントリーナンバー③
「ぽっぽこうくう/もとやすけいじ(佼成出版社)」

スーッと抜けていく、森林のような香り。
嗅いだ瞬間、つるっとした触感も思い描けた。
確かに実物もつるっとしてる。不思議。
人間たちの生活が、ちいさな動物たちに変わるだけでどうしてこんなに可愛いの。あー、飛行機乗りたい。
美味しそうな機内食をはじめとする細部にまで、じっくりと見てほしい一冊。

エントリーナンバー④
「おこだてませんように/くすのきしげのり・作、石井聖岳・絵(小学館)」

七夕の紙の香りだ!夏が終わってなんだか寂しかったので、切な嬉しい。
涙なしに読むことが出来ない本作は、10月28日にコモンに来て下さる、くすのきしげのりさんの著作の一つ。しかも実際に七夕のエピソードが存在する!
新書コーナーの一番上にくすのきさんの絵本が並んでいるので、予習にも最適だ!

エントリーナンバー⑤
「仏像に会う 53の仏像の写真と物語/西山厚(ウェッジ)」

これぞ、私のよくイメージする《本の香り》!
スーッと入ってきて、サーッと抜けていく。もう少しそばにいて!
掲載されている仏像様たちの迫力たるや…、心の内を見透かされているようだ。
ついつい拝みたくなってしまうのは、きっと私だけではないはず。

エントリーナンバー⑥
「自分らしく生きる フィンランドが教えてくれた100の大切なこと/島塚絵里(PIE)」

ざらりとした質感の香り。そしてなんと、実際に紙が、ザラリとしている!
フィンランド、行ったことは無いけれど…なぜだか一瞬、そこに居たような気がした。
とってもお洒落で可愛いイラストと、フィンランドの雄大な自然を写し取った写真が沢山収められている本作。
ひとつひとつの記事は短くサラリと読めて、今日からでも始められそうな知恵でいっぱいだ。


私的コモン七不思議。のひとつ。

え、本当に香りのレビューしてる…。と思ったでしょう。
そう、私はあくまで、コモンの新書たちの香りを堪能したのである。
本を開いて顔を近づける風体は、周りから見るとおそらく不審者のようだっただろう。後悔はしていない。
既に読ませていただいた本もあるが、その感想を本格的に書いていると、大長編になりそうなのだ。
これには私的コモン七不思議が関わっている。実際には、七つもはない。

私は割と色々なジャンルの本を読んでいるつもりだが、どうしても、より「心に染みわたる本」というものはある。
本屋などに行くと、置いてある本のうちこのくらいの割合で染みわたりそうだな…、という統計がなんとなくある。
私的コモン七不思議のひとつ。コモンでは、なぜか心染みわたり本がジャンジャン出てくる。私の統計を破壊してくるのである。
あまりにも不思議だったので、スタッフさんに「どうやって本を選んでるの?」と聞いてみた。

  1. コモンスタッフ全員のリクエストからいくつかを皆で選んで購入。
  2. コアメンバーが実際に本屋さん等を訪れて吟味。帰還後、皆で話し合って購入。

他にも寄贈していただいた本や、来館者のリクエストで購入することもあるが、多くの新書はコモンスタッフ達で選んだものらしい。
それも単純に各々の好きな本を選んでいるわけではなく、日々コモンにやってくる私達来館者のことを思い浮かべながら選んでくれているのだそう。
そういえば、育児に悩んでスタッフさんに相談したら、しばらくするとその悩みに関する本がさりげなく置かれていたりした…!

考えてみれば簡単なことである。そこに本があるということは、それを選んだ人が居る。
つまりはコモンで本を読んでいるとき、もはや我々はスタッフさんとも対話している、ということだ。
そうなると不思議なもので、「多分この本は、あの人が選んだんだろうな…」と予想がつき始める。
自分が読んだ本を読んだ人がすぐ傍にいる、というのは、なんとなくホクホクして、嬉しくならない?
あれだ。小学校の図書館で本を借りるとき、貸出カードに残る名前を見て、またアイツ…!ってのと同じ感覚だ!カントリーロードだね!
この現象はコモンに限ったことではないのかもしれないが、それでもすぐ身近にこんなトキメキがあるというのは、なんとも幸せで有難いことである。
ぜひあなたも、推しの選書スタッフをみつけてほしい!ドキドキはすぐそこだ!

しかもタイミングの良いことに、現在このようなポスターが黒板に貼られている。

各スタッフさんたちの選ぶおすすめ本ベスト6!
トップバッターは、れいさん、たいがさん、めぐみさんだ。
今後、別のメンバーのおすすめも随時発表されるらしい。
ひとまず、れいさんおすすめ3位の「求めない」を求めてしまった。これは確実に、全てコンプリートしたくなるぞ。
まったく、コモンに行く楽しみがまた増えてしまったじゃないか…。


最後に、現在開催中のもう一つのイベントについて触れてみよう。
まちライブラリーブックフェスタ・ジャパン2023」という企画に、鮎喰川コモンが参加している。しかも、四国で唯一だ!レアだよ!見てみて!
こちらは、秋の約2ヶ月の間、日本中の本に関わる場所や個人が登録して、本にまつわるイベントを企画する、といったもの。
現地に赴いて参加するイベントもあれば、オンライン型もあるので、どこにいても楽しめるのが特徴だ。
公式ホームページの日本地図では、登録されているブックスポットにズラリとピンが刺さっている。「こんなにも本を愛する場所や人がいるんだな…。」とみつめるだけでもなかなか面白い。
また、実際に訪れた場所について「探訪記」なるもので感想を投稿することもできる。
ぜひ、コモンに来てくれたアナタの感想を見てみたい!

まだまだきっと終わらない。


アテにならないかもしれない次回予告
「まちのみんな、司書になれたか。第2回を読破したみんなにはお馴染み、あの「司書になる体験」の後日談だ。各自、自身の「アイツ…。」に出会えたのだろうか。第4回に急げ!」

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第1回「私がコモンで出会ったもの。
第2回「司書になれなかった全ての大人たちよ、ここに集え。

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やすともゆうこ

2021年春、家族と共に神山町に移り住んできました。お魚と本が大好きです。

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