「まちの風景づくり一緒に考えませんか?」開催報告_Ep.3

住まい2022年11月21日

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投稿者:小池 裕子

(神山つなぐ公社)

皆さん、こんにちは。
神山町では今年度より景観計画の策定に動き出しました。
7月から住民の皆さんと一緒に勉強し合う機会を設けようと思い、
「まちの風景づくり一緒に考えませんか?」と題した勉強会を実施しています。
10月は諸事情あり、開催しませんでした。すみません!
つい先日より今までの勉強会の開催報告のレポートを書いています。

今回は「まちの風景づくり一緒に考えませんか?」第2回勉強会の開催報告です。
第2回勉強会のテーマは「神山らしい風景ってどういうもの?」でした。

ゲストには、2016年から2019年まで神山で調査・研究していた石川初さんをお呼びしました。

石川研究室が制作した神山の書物

今回のレポートでは下記の3点に絞り、どういうことを話していただいたのか書こうと思います。
1,石川先生による風景の見方
2,立場によって違う「神山らしさ」「風景の良さ・悪さ」
3,神山の景色がどうなったら「え〜〜〜」と思う?

それでは本題に入りましょう。長文になりますが、しばしお付き合いください。
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1,石川先生による風景の見方
(1)これまでの石川研究室の活動から
まず初めに神山の風景は、どういうスケールの風景を捉えるのか、その風景はどういう時間軸で形成されたものなのかによって、多様な姿を見せることをレクチャー頂きました。

また、これまで石川研究室が滞在中に発見し、記録にとどめたものがどういうものであったのかも、具体例を挙げ説明してもらいました。

「神山くらしの風景図鑑」より

どの話も興味深かったですが、神山の印象をつくっている要素として「人」が欠かせないという石川先生の言葉が強く記憶に残りました。

(2)「私が気づいていなかった景観」を発見するために
「私が気づいていなかった景観」、つまり普段あまり意識することのない景観に対して、自分なりの新しい発見するために、どういうことをすればいいのかも教えてくれました。

一つだけ例を挙げて説明します。
「駄写真を撮る」:写真の中に自分が入れたい要素だけ入れるのではなく、周辺のものもきちんと写しておくことで、沢山の写真を撮った後に「これ面白い」と感じ、自分にとって新たな発見に繋がっていくとのことでした。その他にも自分の風景を見る視点を変えるために、どういった方法があるのかいくつか教えてくれました。

2,立場によって違う「神山らしさ」「風景の良さ・悪さ」
年代や性別、またそれを超えて同じテーマでも、自分と他人との考えが違うことに遭遇した、という経験はどなたにもあると思います。

上記のテーマで「年代」「移住者・既住者(神山で生まれ育った)」によって風景に対する考え方が異なることを論文にした石川研究室の卒業生がいたのでお話をしていただきました。

詳細な内容は割愛しますが、このテーマに関して次のようなフィードバックが寄せられています。
「確かに自分も神山に初めてきたときは気になっていた風景が今は気にならなくなったり、人(移住者・既住者)だけでなく住んでいる年月によっても変わるように思った。」

普段、あまり人と話すときに景観の良し悪しについて話すことはないかもしれませんが、是非家族や友達と話してみてほしいと思います。

3,神山の景色がどうなったら「え〜〜〜」と思う?
神山に3年間にわたって調査研究に来ていた石川先生だからこそ出来るこんな質問をしてみました。
「石川先生は、神山の景色がどうなったら「え〜〜〜」と思いますか?」
石川先生は普段はまちの風景を面白がって見ることはあっても、こういう風に考えることはあまりないようで、この問いについて真剣に考えてきてくださいました。

勉強会で石川先生が言っていた言葉が良かったので、抜粋します。

「ええ!?」は、神山に似合わない、神山が大きく損なわれたという実感から来る感慨だろう。そこで、私たちの中の「神山」の風景がどのようなものかを検討してみることが重要そうだ。自分が勝手に理想の風景を描いて、それとそぐわないものに違和感を抱いているのかもしれないし、現実の神山を変わらず維持したいと思っているのかもしれない。そこが議論のポイントかもしれない。

下記に石川先生の意見、参加者の意見を一部抜粋します。
~石川先生~
・神山温泉の隣にパチンコ店ができたら
・商業施設が建ち始め、ロードサイド化したら

~参加者~
・(住宅地の場合)3階建てまでならいけるが、4階建てが増えると嫌
・真っ白いコンクリート擁壁
・「見通し」が大事。遠くの畑が山に登ると見える。見通しが悪くなった時に安心が揺らぐ。

皆さんも是非、考えてみて、周りの人と意見交換してみてください。
思っていることが一緒だったり、違ったり、考えて言葉にして初めて違い等がわかるようになります。
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ということで以上が第2回の勉強会の開催報告レポートになります。
第2回の勉強会は景観計画のことではなく、神山の景観に焦点を当てた勉強会でした。
いずれもなにかの結論や正解を出すものではなく、自分の言葉で書いたり、話したり、色んな人の意見を聞いてみることで沢山の発見が出来るものであると思います。勉強会終了後、色んな人のお話を聞いてみたくなりました。
気になること等、ありましたら私小池までご連絡ください。
次回は第3回勉強会の開催報告です。テーマは「ヨーロッパの農村風景はなぜきれい?」です。

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小池 裕子 (神山つなぐ公社)

こいけひろこ/ 神奈川県横浜市出身。2022年5月から神山つなぐ公社で「すまいづくり」を担当しています。好きなご飯は白米です。毎日美味しいと思ってます。

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