短期連載コラム/第4回「コモンで司書になる体験、後日談。私の長くて短い一日」

なんでも2023年10月18日

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投稿者:やすともゆうこ

昨晩はなんだかフワフワとした気持ちで眠りました。やすともゆうこです。
あなたの今日の夢は何だったのだろう?私は夢の中で、小鳥になってたよ。
なんだか最近の神山はグッと冷えてきて、いっそうのこと冬眠してしまいたい気持ち。
夢とうつつの狭間を漂いつつも第4回コラムを書いた私は、「見逃し配信って、ある?」と思ったあなたにバックナンバーも読んでもらいたいな。
さぁ、今回のコラムは、第2回の続編だよ!

Back number
第1回「私がコモンで出会ったもの。
第2回「司書になれなかった全ての大人たちよ、ここに集え。
第3回「なんとも初々しい、コモンの新書たち。の香り?


私の長く短い一日のはじまり。

なぜ私は昨晩フワフワと眠ったのか。
そう!実は昨日コモンで、「徳島県立図書館の本いれかえ体験会」があったのだ!
今の私にとっては昨日だけれど、あなたにとっては数日前かしら。10月12日のお話。
コモン3周年記念イベント「コモンでであう、本と人。」で初の、一挙にまちの人が集まる企画。
ワクワクしないはずがない。なんといっても、司書になれるのだから!
参加できなかった人たちもイベントの臨場感をしっかりと楽しめるよう、私の記憶が新しいうちに急いで本稿を書きしたためている。

私の長く短い一日は、朝6時半ごろに始まった。その日はたしか、夢は見なかった。
起きてまず確認したのは、前日に用意した「これを借りようねメモ」。
そう、私は、徳島県立図書館の本を「借りに行く」ところから参加させてもらえることになったのだ!

コモンスタッフのみんなは、約2か月に一度徳島県立図書館に行く。そしておよそ200冊もの本を選び抜いてくる。
もちろん、ただなんとなく選ぶのではない。
これからの2か月は、どんな本がまちの人に必要とされそうかをよく考えて、ジャンルを決め、それぞれに分担して本を探す。
今回は12月半ばごろまで設置されるということで、以下のような本達がコモンにお呼ばれすることとなった。

  • 食欲の秋だもの!きのこ、鍋、大根などなど。食べたいね。
  • 秋~冬の自然が見たいかも。雪、紅葉、樹木の変化、秋の景観。
  • 冬ごもりの前に趣味!ハイキングや冬キャンプはどう?
  • この季節の伝統が知りたい。お祭り、クリスマス。他にもあるかな?
  • 大型絵本もこの季節ならではのものにしよう。
  • まだまだ生き物はいるよ!児童向けの図鑑。
  • 冬のおとずれを感じてもらいたいな。冬眠や動物の赤ちゃんの絵本、児童文学。
  • 10月28日にはくすのきしげのりさんがやってくる!著作をもっと読みたい。

上記以外ももちろん選んでOK。今回私は、絵本と児童文学を担当させてもらえることになった。大好物です。
それはそれは楽しみで、読みたいし、読んで欲しいと想う本をチョイスして、蔵書を調べておいた。さっきのメモね。
なんといっても、60冊の本を個人的に選んで帰るなんて、めったにない体験なんだから!
私はひとまず20冊ほどを事前に選んでおき、残りは当日フィーリングで決めることにした。

時は進んで、10月12日の午前9時半。
徳島県立図書館に到着した私は、いざ出陣!タイムリミットはおよそ1時間半だ。
カートにカゴを二段に並べて本を探したことなんてない!幸せ!
と、勢いよく飛び出し、本を探し始めたはいいものの…見つからない。全然見つけられない。とても悔しい。
そんな時には、司書さん達に質問だ!
徳島県立図書館の本は、もう本当にたっぷりある。それらを確実に分類し、管理し、並べてくれている。
しかしながら20冊もの本を一気に探したことがない私は、とてもではないが時間内に終わる気がしなかった。
司書さんたちに伺ってみると、どうやら10冊ほどは表に出ていない本だったようで、持ってきてくださるとのこと。
もう、祈りたい気分だった。その節はありがとうございました。
そして残りの表に出ている本の居場所も、とても丁寧に教えてくださった。フロアマップを指さして…。
いける!これならいける!私は無事に残りの本をサクサクと探すことが出来たし、なんなら合間に目についた本を手に取ることもできた。嬉しいな。
是非あなたも、本の在りかに悩んで諦めてしまいそうなときは、司書さん達に聞いてみてほしい。
祈りたくなるぞ。

そんなこんなで無事60冊の本を選んだ私は、ニコニコしながら帰路についたのだった。


自由に、楽しく。

昼食を食べ、我が家の大切なお魚たちに愛を込めて水槽の掃除をし、息子を寝かしつけていると、あっという間に午後3時。
午後4時開始のイベントに合わせて、準備が始まる頃合いだ。
当日のスタッフは、れいさん、まきさん、ともこさん、あやのさん。
そしてなんと、私だ!

こんなに可愛いイラスト付きで、名札まで作ってもらってしまった。最高だ。
ちなみにこの素敵な私を描いてくれたのは、まきさん。コモンのいたるところに散らばる愛らしいイラストたちは、彼女の作品であることも多いのだそう。
現在は黒板に、「コモンの読書環境づくり」についても描いてくれている。
初めてコモンに来た人にも、とても親切な指針となることだろう。

話戻って今回のイベントでは、メインの進行係はれいさん。
いつも柔らかな笑顔で明るく迎えてくれるのが印象的なスタッフさんだ。
どのようにして本を棚に収めていくのかな?と思っていると、「ひとりひとり自由に、自分の好きな分け方を決めて本棚を作ろう!」とのこと!
私はてっきり、最初からある程度決まったジャンルの中に本を分類していくとばかり思っていたので、なんだか目が覚めたようだった。
なにそれ、絶対面白いジャン!

まず、好きな棚を選ぶ。身長の事も考えて、下の段にはちいさな人たちが手に取りやすい本を入れること。
そして並べたいと思う本を選び、棚にオリジナルの名前をつけていくというわけだ。
自由に、楽しく。を大事そうに話す彼からは、彼自身が普段大切にしていることが、にじみ出ているようだった。

企画が始まる30分ほど前からは、もうすでにソワソワした子どもたちが数人集まってきた。彼らは皆一様に待ち遠しそう。
のらりくらりとそんな様子を見つめながら楽しんでいるだけの私(一応スタッフ)も、もはや待ち遠しい彼らの一員である。
机の上にのびのびと広げられ、自慢げにその表紙を見せている本達はなんだか嬉しそうだ。
皆が触れる鉛筆一本一本を削るまきさんのきめ細やかさを感じつつ、開始時刻がやってきた。


いつもよりも、一層きらめいて。

開始当初、集まった子供たちは3人ほど。
す、少ないぞ!ドキドキする!
とかなんとかいってるうちに、一人、また一人と増え、あっという間にコモンの板間は小学生の司書さんでいっぱいに!ホッ!

さっそく、どの棚にしようかしら?と探索する子もいる。
棚から決めるのって、なんだか秘密基地づくりに似てるね。

そして彼らは、思い思いの棚の名前を決めている。いったい何を書いているのかな?

私は「大人が読みそうな本」をメインに扱っていたのだけれど、みんな何がどうして、大人の本にも興味津々!
むしろ、見慣れた児童書よりも目新しかったのかもしれない。
私と一緒に本を読んでくれる子もいたりして、なんだか想像していたよりもずっと穏やかで温かいひと時だった。

「あ、あれ私が選んできた本だ。読んでる!」とこっそりウォッチングしつつ、本をより分けていく。
黙々と本を並べて自分と向き合うのもきっと楽しいけれど、こんな風に誰かと触れ合いながら本に関わるのはもっと楽しい。
これは新しい発見だったし、一緒に作った本棚はいつもより一層きらめいて見えた。


本当にユニークな本棚たちが、あなたを待っている。

楽しい時間はあっという間。
気が付けばたくさんあったはずの本はすっかりなくなって、空っぽだった本棚にしっかりと収まった。

コモンの新たな本棚は、どれも新鮮な名前でいっぱい!見る棚全てがすごく魅力的で、私ははやく読みたいなと思うばかり。 

色についての本が並んでいたり、「大人が読みそう!」と、小さな司書さん達が懸命に選んだ本もズラリ。

こちらはスタッフあやのさん作、「青い本」。青い本ってこんなにあるんだ!
青があるなら、他の色もみてみたいなぁ。棚のタイトルをよく見ると、実は…。なので、是非実際に見に来て欲しい!

なんと、気になる本をなんでも置いていい棚!斬新だ!こちらのお宿はお客が頻繁に入れ替わって、忙しくなりそうな予感ですね。ちなみにカエルさんの本は表紙と中身のギャップが一押し。

最後は、私と一緒に本を読んでくれた彼女との、合作棚。私にとっては最も思い入れが深いものだ。素朴で可愛い手作りが出来ちゃう本と、見た目に色が美しいな、と感じた本がたたずんでいる。

他にもユニークな本棚達が、今もあなたを待っている。ついでに私も時々待っている。


そんなわけで私の長く短いその一日は、あっという間に終わってしまった。
帰ってから少しぼーっとしてしまうほど、濃厚な一日だった。
こんな毎日がずっと続けばいいのに、でも時々出会えるから輝いて見えるのかな?でもやっぱり、ずっと続けばいい。
ただ今回は、若者や大人の参加者がいなかったのが少しだけ心残りだ。
時間帯的に難しかったのかもしれない。
夜のいれかえ体験会とかだと、大人も来てくれるかしら。
今回の子どもたちとの柔らかく温かな時間とはまた違う、しっぽりとした雰囲気になりそうだ。
あ!それなら、10月27日に似た体験ができるかもしれない!
ただ、本 - 秋の夜長にただ、本を読む会」が実施されるからだ!
このイベントは午後6時から午後9時までと、まさしく大人のしっぽりタイムである。子どもももちろん参加可能だ。
ただ、本を皆で読む。ハァー、絶対楽しい。
コモンのどのあたりで読もうかなぁ…。クッションも持参しようかしら…。
徳島県立図書館の本はコモンから借りることはできないので、この機会にガッツリ読もうと計画中である。
あ、でも10月14日から開催されている「みん棚」の本も期間限定なわけだし…。
とても三時間で読み切れそうにない。幸せな悩みですね。
コモンのイベントは、まだまだ始まったばかり。

もうしばらくは終わらないよ。


アテにならないかもしれない次回予告
「自分の好きな本を見てもらうという、フェチズム。嬉しさと恥ずかしさが入り混じったこの感情を上手く表現する言葉を、私は知らない。とりあえず、コモンの本棚が擬人化してるぞ。重力の違いを感じてみよ!ほんとにカオスな次回予告だな、これ」

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第1回「私がコモンで出会ったもの。
第2回「司書になれなかった全ての大人たちよ、ここに集え。
第3回「なんとも初々しい、コモンの新書たち。の香り?

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やすともゆうこ

2021年春、家族と共に神山町に移り住んできました。お魚と本が大好きです。

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