[4者対談]後編 リニューアルをひかえ、共同運用となったイン神山とその先にあるもの 

しごと2016年9月17日

ともかわ

投稿者:ともかわ

2008年に開設された本サイト「イン神山」は、これまでの9年間、NPOグリーンバレーが運営を担い、神山の日常を発信してきました。今年(2016年4月)立ち上がった一般社団法人神山つなぐ公社と、共同運営をしていくこととなったのを機に、あらためてイン神山の歴史を通じて見えてくる、神山で起こってきたこれまでの動きと今後について、お話いただきました。

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【後編】

いろんな才能を持つ人がいる神山は、職業の百貨店

— 竹内さんは、ここまでどんなふうに聞いてらっしゃいましたか?

竹内:おもしろいなと思いながら聞いていました。多くの人は今の状況しか見えていないだろうけれど、ほんとうに長い歴史があって。たとえば、役場と一緒に公社を立ち上げるなんて、簡単にできるわけがない。俺は両親とも公務員だし、地元の連れ(友人)と話していて思うけれど、公務員はそんなにリスクとらないし、自分から何かやろうと思わない。そんななかで(NPOと行政が)一緒に公社を立ち上げるって、単純にすごいなって。

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4月にグリーンバレー事務局長に就任した竹内和啓さん

大南:無謀みたいな?(笑)

竹内:いや、すごいなあって。杼谷さんとか、(役場から出向して神山つなぐ公社の代表理事を)やるんやあって。自分の田舎で40代とか50代になって、新しいことに挑戦しようって人、いないっすよ。だからそれだけ面白い。なんか起るよね。そんなかに、いっしょに居たいな、いっしょにやりたいなっていうのが、ある。

西村:そんなかにいたい、なんか一緒にやりたい。

竹内:もともと、自分でやってた会社がうまくいかなくなって、ある意味、挫折して数年うだうだしていたんだけれども、それがだんだんほぐれてきて、子供も大きくなってきたし、俺ももうすぐ50代だし、もうひと勝負やらんことには、死にきれんなと。「学校をやりたい」とは思ってたんで、どこでやるのか、誰とやるのか、いつやるかっていうのは、ほんとにタイミングで。
今年2月の3daysで聞いた大南さんの話は、教育の師匠が常々言っていることと見事にシンクロしてて。師匠は「子育ては、植物を育てるのと一緒や」と。ほったらかしにしても、かまいすぎてもいけない。適当な手入れをしてあげて、しっかり幹や根を育ててあげると、どんな花が咲くか分からないけれども綺麗な花が咲く。それと同じことを言われているので、「これは、すごい。ここやったら、思っているような、教育というか子育てができる」と思って。
先日も、あかりちゃん(神山塾7期生)がやっていた子供のキャンプに行ったら、城西高校神山分校の生徒がボランティアで来てくれてたんやけど、すごくいい子やなあと思って。

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城西高校神山分校には造園土木科があり、神山つなぐ公社のプロジェクトにも協力いただいている

西村:分校の生徒さん?

竹内:はい。すごく動けて、みんなに目線がくばれているし、すごいなあと思って。「仕事とかどうするの?」って聞いたら、普通のサラリーマンになるようなことを言ってて、なんかもったいないなって。彼みたいな子が、地元で活躍してくれたら、すごくいいだろうなあと思うけど、今の俺にはまだ「しろ」とも言えない。でもなんか将来の町の中心になれるような子やなあと。
神山にはいろんなことにチャレンジしている人がいて、すごい彫師もいるし、3Dモデラーの寺田天志さんみたいな人もいる。子供からみたら、ここって職業の百貨店やんって。チャレンジしないまま、この場所を出て行くのは、もったいないなと。何も知らないまま後で「ああ、あん時やりたかったな」と、終わるのはいややなと。自分がいややし、自分の子供にそうなって欲しくない。

西村:お子さんいくつぐらいなの?

竹内:上のふたりは大学生で、下のふたりは高校生。みんなある程度大きくなったんで、後は背中だけ見せておこうと。お父さんいつまでたっても好き勝手なことをやっとくみたいな(笑)

— 竹内さん自身も好きなことにチャレンジする。

竹内:そう、そういう生き方。いまほどリスクがなくて、好きなことをできて、いろんな人とつながれる時代ってないやんって。俺が10代のころは、自分が会いたい人に会うって、できるとも思ってなかったけど、いまは有名人とかもSNSでつながってくれたりするし、周りをたどったりすれば、会える世の中やし、お金だって、最近はクラウドファウンディングとかもあるし。

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クラウドファウンディングに挑戦し、目標金額を達成した神山さらやプロジェクト

西村:そうね。1週間、神山に滞在したら、いろんな人に会えるね。辻みたいな感じだよね。交差点。

アメーバー型の働き方で、面白いものが育っていく

— グリーンバレーはこれから、認定NPOになろうとしていますね。

大南:これからのグリーンバレーには、オニヴァさんの働き方が参考になると思うんよな。いままでは週休2日でやっとって、週休3日になった。その3日目の休みについては、それぞれがプロジェクトを持っとって、オニヴァの価値を高めるための1日にする形なんよね。あれを読み替えたときに、僕自身は、ずっとグリーンバレーの職員であってほしくはないんよね。

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地元食材を使用した南仏家庭料理とオーガニックワインのビストロ。お客さんもスタッフも一斉に同じテーブルについて食事をする「みんなでご飯」や、映画会も開催している

西村:グリーンバレーのスタッフに?

大南:資金的にも余裕があって、週のうち1日は自分がステップアップする1日にするみたいなのができれば、グリーンバレーを踏み台にして次のステップにいったりできる。あんまり固定化せんほうがむしろ面白い組織になるんかなというような気がするんよね。
グリーンバレー自体がアメーバー型の働き型の実験をできたら、より面白いものを生み出していくんかなと。アメーバーみたいに、ひとつの塊なんだけれども、いろんなところに飛び出したり、引っ込んだり、また伸びていったりするような。

竹内:そうですね、いろんな芽を育てるもとになりたい。認定をとって、それなりに寄付も集まってくれば、お店をやってみたいというんだったら、その資金援助とかコンサルティングとか、人や情報という意味でお手伝いできる。自分自身もビジネスを立ち上げるの、大好きだし、そういうのが起っていくのを見ているのが、楽しい。

提案者が当事者でいることは、地方の会議の形を変えていく可能性がある

西村:大南さんは公社の理事でもある。グリーンバレーに加えて、公社の理事も「よしやってやろう」となったのは、どんな気持ちから?

大南:地方のいろんな場所で創生戦略つくるなりしとるわけよね。でも結局、いちばんの問題点は、発言や提言をした人が、自分の発言に対して責任を持たんという所やと思うんよね、ただ言いっぱなし。行政聞いたでしょ? みたいなところで。

西村:「俺は言ったよ」みたいなね。

大南:何も生まれていないんよね。極論なんだけれど、みんなが集まってなんも起らんことに時間を投資するっていうのは、人生そんなに長くないし、ある意味、浪費なんよね。今回の場合やったら、自分自身も当事者として、関わっていくことで、もしかしたら、日本の地方における行政と民間のあり方を変えて行く可能性があると感じとって。やりがいがあることやなあと思いますよね。

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2015年に開催された「神山町 まち・ひと・しごと総合戦略策定ワーキンググループ」の様子。若手の町職員・住民等約30名が混ざり合い、まちの将来について話を交わした

西村:先日、グリーンバレーの理事会でも、岩丸さんが、「公社の人達とももっと話し合って、やっていかなあかんなあ」と言ってくれてね。有機的につながっていくといいと思う。

杼谷:神山つなぐ公社はせっかく町とグリーンバレーが一緒に立ち上げた一般社団法人なんで、やっぱりグリーンバレーも役場も、もっと一緒に考えて、やるっていうのがいいんだろうなと思うんですけどね。

出入り自由な試合のなかで、ダイレクトパスをつなげていく

西村:大南さんたちがやってきていることって、サッカーの試合みたいだなって。とにかくパスを切らさないことだけを続けているっていうか。しかもそのサッカーの試合が出入り自由で、選手の数がすんごい増えたり、出ていく人もいる、でもずーっと、プレイが続いているっていうか。そういう印象があります。

大南:3Dモデラーの寺田さんは、「とにかくダイレクトパスがつながっていくのが心地良い」という話はするよね。じゃけん、自分が思ったことを、パッとだれかに投げかけたら、さあーっとパスがつながっていく。
もともとグリーンバレーをつくってきた人間は自営業の人間が多い訳よね。自営業の人間の一番の特徴っていうのはな、段取りができるってことなんよ。この人が動いたらこんなことができるねっていう。もともとのメンバー自体も、そこでそれぞれの得意技とかが分かっているから、このパスはこの人間に、投げとったら、この人間が一番いいところに、次のパスを送るだろうみたいなんが、わかっとるということなんやろうなと思うんよな。


寺田天志(TERADA 3D WORKS)さんによる KMS_「フリスビー×3Dモデリング×3Dプリンター」特別授業

西村:フィールドの中で球の数も1個じゃなくって、誰と闘っているのかよく分からないみたいな。入ってきたり、出て行ったり。出入り自由というところが、グリーンバレーの面白いところだなって思っていて、出て行く人達のことを寂しがらない。そのやっぱり、僕もこっちに来て「お墓持つの?」とか、何度か具体的に聞かれたことがあって。

大南:骨埋めるの? とか、気持ち悪いよな(笑)

西村:でも、大南さん達は、そういう所にいないでしょう? 意識的にそうしているのか、心からそういう感じなのか。

大南:いままでの神山にあったような組織がどうしてなくなるんかなって見とったら、出入り自由でないんよな。入るときは大歓迎、でも、いざ辞めるとなったら後ろ指を指す。組織を俯瞰して見たときに、若い子がこういう組織に入りたいかというと、入ってきたくないんよな。そういう空気が流れとる。

西村:そうよね、我慢大会に参加したいわけではないだろう。

大南:ほなけん、グリーンバレーの活動にしても何か事情があってやめるっていう話になれば、それはそっちのほうがいいと思う。でももし、その問題が片付いたら、また戻って来たらええよなっていう雰囲気が結構、大事で。

竹内:まさにすこやかですね。

大南:それがフラットな形と思うんよね。上から目線でもなんでもないし。そしたら、そこに自由で柔らかい雰囲気が流れて、そういう場から新しいことが起ると思うんよな。例えば、神山町国際交流協会で全体をやりおるから、「みなさん会員になってね」というんじゃなくて、アートが好きな人は勝手にそこで集まって、アドプトしたい人はここで集まるっていうんかね。入っていきやすいし、辞めやすい。そういう形の方が、うまく動くかなというイメージが、もともとあって。

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ピンクのシャツのニコライさんからお誘いがある「森づくり」の活動

イン神山は、垣根なく想いのある人が集う場所へ

西村:9年前、イン神山に「神山で暮らす」というカテゴリーをつくったのは、イン神山の開設時期にちょうど移住交流支援センターが立ち上がったということもあったけど、大南さんたちが、「移り住んでくる人達が増えるといいな」というところを、表現されていて。

大南:言うてましたね。

西村:いま話を伺っていて思うのは、人口を増やしたいっていうこととは、ちょっと違うわけですよね。何を実現したいんだろう?

大南:じゃけん、想いのある人の集まれる場やと思うんよね。
日本では人為的なものでブロックするっていうのが多いんやけどね、例に出すと、「道路がないからこの集落に住めない」っていう話。ほな、道路をつくったら喜んで、「便利になったから、ここで住み続けられる」っていいながら、片方では引っ越しが始まる。結局、人間の意識の変化を道路で止めておこうっていうこと自体が、うまく働かんのやと思うんよな。意識はそれを超越して動いていく。
まちから出て行きたい人には、それなりの理由があって出て行くわけやから、それを無理に残ってくださいっていう形は、長い目線で見たら効果を発揮しない。逆に入ってきたい人がきやすいような形を作る方が、結果的には、意識の濃いチームができると思うんよな。
離れたい人ばっかりが集まったまちと、何か起こしてやろうという人が集まったまちとでは、当然、意識の強い人があつまるまちの方が、意志の統一もしやすいから、動けるっていうことやと思うからね。


食や農業に課題意識をもっていた、町職員の白桃薫さんと、モノサスの真鍋太一さんとの出会いにより動きだしたフードハブ・プロジェクト

西村:望んで生きている人が多い場所のほうが。

大南:ほなけん、ものごとを真水で見る方が大切で、単純に数値だけみよったら、数値が目的化してしまって、無理矢理に数合わせをしようというような、恣意的なもんが動いてきて、するとある面、不健全な、すこやかでない空気っていうのが育つと思うんよね。

西村:今回のイン神山のリニューアルは、そのことにどう貢献すると思われますか?

大南:グリーンバレーの枠を、とっぱらう役割があるんかなという気はするよな。グリーンバレー自体はできるだけ枠のない組織でと思うとる反面、外側から見たら枠が存在しとったかもしれん。それは当然仕方がないことで。じゃけん、そこで公社と協働することによって、内側から見るものと、外側から見たところに、ほんとうに垣根がなくなった状態が、現実の状態として、結果、生まれるんかなという気はするね。

西村:そうなると思います。それが新しい形を伴うのは11月頭ぐらいでしょうけれども。はい。それに向けて、がんばらなくては。

—杼谷さんは今のお話をどんな風に聞いてらっしゃいましたか?

杼谷:イン神山を共同運営するっていうのは正直、最初はどっちがいいんかわからんかったんやけれども、イン神山ができたときって、外からの注目度はごっつ上がったと思うんですよね。まちの中で何か面白い状況が起りおるんよというのが、すごく発信されたっていうか。また新たに、グリーンバレーだけではなくて、いろんな人が関わりだしてやるっていうんは、すごく楽しみだなあと思うんですよね。イベントカレンダーひとつにしても、みんなが関わる。先日のミーティングの時とか、すごく面白いことが始まりそうやなって。

西村:先日、公社でイベントカレンダーのテスト運用のミーティングをしたんですけれど、すごく雰囲気が良かったです。

—竹内さんはいかがですか?

竹内:ワクワクしますね。枠をとっぱらう役割があるということで(笑)。新しいことにチャレンジするのは楽しみでもあるし、「責任重大だな」と気が引き締まるところでもあります。まあでも、そういうことは意識せずに思う存分やるのみです。すこやかであるためにね。

ともかわ

ともかわ

神山つなぐ公社の「つたえる」担当です。山暮らし初心者。どなたか、野菜と雑草の見分け方を教えてください。 Facebookはこちら

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コメント一覧

  • 本日、NHKで神山のTV番組があるので、読んでいました。 50代でも挑戦する人がいる?本当ですか?私は55歳で挑戦したい と思っています。ネット環境が良いなら、今やどこでも同じですね。

    2017年1月17日 22:11 | 梅村俊貴

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