空き家のミカタvol.4 水を得る 

住まい2022年11月28日

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投稿者:移住支援センター

 こんにちは。移住交流支援センター吉田です。
 今回は生活に必要な水の確保について。さっそく連載目次(案)の順番が前後していますが、それだけ水が得られるかどうかが空き家探しにとって重要ということで。

 神山町は鮎喰川が背骨のように中心を貫き、川の両岸を山が取り囲むような町域になっています。昔からの家は山肌に張り付くように立地していることが多く、豊かな山水を利用して生活してきました。

 さて、厚生労働省のHPで、令和元年度の水道普及率を調べてみました。


※参考:令和元年度 現在給水人口と水道普及率https://www.mhlw.go.jp/content/000764493.pdf

 人口比で、徳島県は97.0%、全国平均は98.1%の普及率となっていますね。
神山町で水道という場合は、この表の中の「簡易水道」という区分に当たります。東京都と大阪府は100%、他は県ごとに90%台で様々です。徳島市内などの市街地部の普及率はほぼ100%なのに平均で90%台ということは、中山間地域はその分水道が来ていないということになります。

今度は神山町建設課のHPを見てみました。

令和3年度神山水質検査計画というのがありますね。
https://www.town.kamiyama.lg.jp/office/kensetsu/image/%E4%BB%A4%E5%92%8C3%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%A5%9E%E5%B1%B1%E6%B0%B4%E8%B3%AA%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E8%A8%88%E7%94%BB.pdf
この検査計画書の中の図を引用します。

 青い所が神山町内で簡易水道の整備されているおおよその範囲です。
範囲内でも幹線道路から離れた場所等では水道本管が敷地まで届いていないこともあります。

 このように、「水道は当然存在するもの」ではないということです。
山水・湧水などを利用しているお家が多くあり、都会暮らしに慣れていると不便に思われるかもしれません。自分の裏山から引いていたり、集落で共同管理していたり、水源確保の仕方もケースバイケースです。

 そもそも、家が空き家になる理由の一つに、水の確保が難しくなったからという話を聞くことは珍しくありません。水源は急な斜面の山道をかきわけて行くような山中にあることが多く、「集落の高齢化・人口減で管理作業が大変になった」「鳥獣害被害で配管が壊されることも増えた」「世代交代で水源がよく分からなくなった」「近年になって今まで使っていた水源が枯れた」・・・などが山を降りるきっかけになることもあるようです。

 一方、移住相談に来られる方の中には、むしろ自然の水が使えるということに関心を持たれる方もいます。地元の方が繋いできた山の知恵を引き継いでいくことができたら、よいのかもしれませんね。

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 それでは、今まで移住交流支援センターで出会った空き家から、事例を写真でご紹介します。

①町の簡易水道が来ているタイプ
こんなメーターボックスがあれば家の敷地まで町の水道管が来ていると分かります。いわゆる都会の水道と同じように、水道メーターで検針され、水道料金を払って使用します。
ちなみに、メーターボックスはあるけど、中のメーター(下の写真の丸いもの)が外されている場合もあります。それは町水道が廃止になっているということ、その場合、次に住む人が再度神山町役場水道課にて水道加入金を払って再開させる必要が発生します。


②山水タイプ
神山ではメジャーな山水タイプ。
水源は山を越えるような遠くから取る場合もあるそうです。
集落で共同で引いている場合と戸別に引いている場合との2パターンあります。
共同管理している場合は、管理費を出し合ったり水源見回りの当番など、それぞれの集落でルールがあります。また、一軒が水を使いすぎて他の家が困るなどのトラブルがないよう、協力して運用しています。

・貯水タンクの例
ポリ製タイプ(一枚目写真左の黒いもの)とコンクリート製タイプ(写真内右のもの、緑のシートで蓋してあります)と二種類みられます。砂・泥が溜まってくるので、年に一度はタンクの掃除をしている所が多いようです。
このタンクから下に配管が出ているのもわかりやすいですね。
道を下ったところにある家へ、高低差を利用して送っています。
別のコンクリートタンクの例。こちらは蓋もコンクリートでマンホールがついています。


・共同利用の家の引き込み部分の例。
 この弁を開けると各家に引き込むことができます。グレーの管にオレンジのコックが付いているの、分かるでしょうか。その先の宅内配管は水道の場合と同じです。
この例は共同タンクからの配管なので、この家で分岐した後、さらに下流にもパイプがつながっていることが分かります。

・山水のパイプ
下の写真のように、こんな黒かグレーの配管があったら、山水ラインです。地中に埋設されていることもあります。
二枚目写真、下の黒パイプが一本抜けてぶらーんとなっておりますね。特に地上に出ている場合、凍結での破断、獣に蹴られて抜けるなどの修理が発生します。定期的に見回りもして水源までのルートを管理しているそうです。山の中を徒歩で辿ることも多いので知見と体力のいる作業です。

・家の横の沢
こちらの写真の例では、かつては家の横の沢から水をくみ上げていたそうです。
今は沢が枯れてしまったとのこと。

③敷地内に湧く水を使うタイプ
・井戸。関東平野出身の私は、井戸が身近でした。それに比べると井戸に出会う頻度が少ないなあと感じます。井戸文化が発達するより直接山水とれる環境ということですね。とはいえ井戸がある家もあります。
ここは庭に井戸あり。下の写真のトタンの蓋が乗せられているものです。

ここは昔のオクドさんの室内(屋根と壁が増築されていて、当初は屋外だったのかも。)に井戸があった跡が見られます。
この八角形の物です。使わなくなってコンクリートで蓋されたようですね。


・家屋の裏に水が湧いているスポットがあり、水汲み場が作られています。
傾斜地が多い神山では敷地内の高低差部(=たいてい石垣)に水場がある家もよく見られます。収穫した野菜を洗ったりなどには便利そうですね。

 

・こちらは敷地内の地面からじんわり滲み出ている水を集めるように穴を掘ってタンクを作り、貯めて使うという例です。
これを作った方地元の方によると、「湧いている量がほんのちょっとにしか見えなくても、継続的に水が出ているようならば、貯めることさえすれば使える量になる」
この知恵にはびっくりしました!

※その他水関係でよくみられるアイテム

・庭に水槽
 山水を雨水と一緒に溜めておき、防火水槽として万一に備えていたと聞いた家もあります。木造の家には重要なことですね。また、山水は流量が不安定なものなので渇水時にも有用だったのではないかと推測します。

 

 


・タオルぐるぐる巻きの配管 
凍結対策です。冬にはちょろちょろ水を出しっぱなしにするなどの知恵もありますが、それでも標高の高い地域に住んでいる方で水道が凍って使えなくなるため一時避難したなどという話も聞きます。空き家の場合、住んでいない間の凍結により、配管が破断している例が良くあります。

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なんともバリエーション豊かです!
水道にしても神山町の水道水は美味しいように感じます。元々の取水地のお水がきれいだからでしょうか。一方、人口が減った町では、公共インフラをかつてと同じように維持管理していくのは大変な行政負担でもあるでしょう。これは日本全体で言われている課題ですが、神山にいると実感として身に沁みます。
地元の方に聞くと、水源が枯れたという話だけでなく鮎喰川の水量も昔に比べてかなり減ったそうです。一説には植林で雑木林が杉林に替わったからとも言われているそうですが、どうなんでしょう?
水を取り巻く町の状況も変化しているようで、よりいっそう水源となる山の環境の大切さを感じます。

すまい探しには水探し一番ということで、いきなり盛沢山な内容になってしまいました。
ここまで懲りずに読んでくれた方は、下の空き家の写真でも水のルートが目について仕方なくなるはず!笑
次回もお楽しみにー!

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移住支援センター

物件紹介から交渉、契約、地域への順応支援にいたるトータルサービスを提供。 「こんなところに住みたい」という移住希望者の要望と、「こんな人に来てほしい」という所有者や地域住民の仲介役を果たします。 「これがダメなら、あれはどう?」というような不動産屋さん的な対応はしません。 最適で、最善の組み合わせを実現するため、一件一件に時間をかけます。 家探しには忍耐が必要です。その忍耐力をお持ちかどうかも、マッチングの大きな要素となります。

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コメント一覧

  • すごい!よく調べてます。力作!敬服!

    2022年11月30日 08:33 | ニコライ

  • ニコライさん!さっそくありがとうございます。 神山生まれ神山育ちの方からみるともっといろいろ奥が深いことがあると思います。ぜひ教えていただけたら嬉しいです!

    2022年12月2日 09:56 | 移住支援センター

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