“小さな自然再生” 研修会 「行こう、鮎喰川」〈その4〉
学び2022年11月15日
すっかり秋の神山です。
川面から顔を出した石に、流れてきた落ち葉が留まり、重なり合い、秋ならではの風景が川の中にも生まれる。こんな風に秋を感じられるのも、ここで暮らすシアワセのひとつです。
さて。神山日記帳で、これまでにもご報告させていただいてきた‟小さな自然再生”研修会「行こう、鮎喰川」!
ついに、最終回です。
お付き合いいただいた皆さま、ありがとうございました。
最終回は・・・
〜「小さな自然再生」との出会い、そしてこれから〜
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「小さな自然再生」に初めて出会ったのは、今から2年前、2020年の秋のことでした。
徳島で「川と人をつなぐ」活動をしている仲間たちから「勉強会をするから来ない?」と声をかけてもらいました。
その勉強会で初めて「流域治水」(※1)という考え方を知りました。
(※1 流域治水とは、気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化等を踏まえ、堤防の整備、ダムの建設・再生などの 対策をより一層加速するとともに、集水域(雨水が河川に流入する地域)から氾濫域(河川等の氾濫により浸水が想 定される地域)にわたる流域に関わるあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う考え方。このときの勉強会では、加えて、本来の流域治水とは川との関わり、「近い水」そして「民衆の自然感」を取り戻すことだと話されていました。)
そして、勉強会の最後に紹介されたのが「小さな自然再生」という取り組みでした。
勉強会からひと月後、「流域治水」や「小さな自然再生」に取り組まれている瀧先生が徳島に来られるとのこと。
仲間から「鮎喰川を案内してみない?」と連絡がありました。
そこで、自然のことに詳しいコットンフィールドキャンプ場のオーナー、森さんにご協力いただき、鮎喰川コモンの下を流れる鮎喰川本流や、鮎喰川の支流のひとつである上角谷川に瀧先生たちをご案内しました。
鮎喰川コモンの下の鮎喰川(文化橋の少し下流)を案内。
そして、上角谷川へ。
「昔、この川は紫川って呼ばれとってね」と森さん。神山温泉の裏を流れる上角谷川は、川床に青い石と赤い石があって、水を通して見ると、その色が混じって紫色に見えたそうです。
石を積み、水の流れを変えてみる「小さな自然再生」を紫川(上角谷川)で実践。
目の前で変わっていく流れや川床の様子が面白くて、秋の寒さも忘れ、裸足になって川に入り、石を積んでいました。
流域全体で治水について考える「流域治水」と、誰でもが参加できる「小さな自然再生」。神山でも「きっと‟何か”繋がっていく。」と感じました。
そして、同じ頃、神山町では、
2021年から新たにスタートする「まちを将来世代につなぐプロジェクト〈2期〉」の様々な施策の検討が始まっていました。
気候変動や大きな災害の発生を念頭に、自然体験活動が防災教育につながること、
そのためにも、まずはこどもたちが自然の中で楽しい体験を積み重ねていけないか、
そしてその体験を、ここ神山に暮らす先達たちから学ぶ機会をもてないか。
施策としての検討が行われました。
そして、2期の施策のひとつとして、
「(2-7) 地域の先達に学ぶ、防災教育を兼ねた『子どもの自然体験』の促進」という施策が生まれました。
瀧先生たちが2020年に神山に来られていたのは、この検討を行っていたタイミングでした。
そして、約2年を経た今年。
景観計画の検討を始めた町の動きもあり、
「流域治水」や「小さな自然再生」についても学んでいけないか、瀧先生に連絡を取ってみました。
奇跡的なタイミングとご縁が重なり、
「小さな自然再生」研修会「行こう、鮎喰川!」を実施することができたのです。
実施した様子はこちら
●〈その1〉下見@鮎喰川(7月31日〜8月1日)
●〈その2〉本番@鮎喰川(9月10日)
●〈その3〉本番@鮎喰川(9月11日)
研修会を終えてからも、
「早速、川で石を積んでみたよ!」
「この水草、在来種じゃない?」
「またこんな研修会、するんですよね?」
などなど、嬉しい声が届きました。
WEEK神山では、独自の川づくりワークショップも展開しながら、こんな展示も!
また「流域」を意識しながら行う取り組みとして、
「田んぼがダムの役割を果たす、なんて発想したことがなかった・・・」と、「川」に取り組む人と「農(里)」に取り組む人が繋がり、「どんなことができるだろう?」の話し合いもスタートしています。
そして、つなぐ公社の仲間たちとは「神山の先達から学ぶ自然体験」の展開を次年度に向けて計画中。
研修会(1日目)に中止となったプログラム「神山の先達と遊ぼう!」も、10月も終わりを迎える晴れた日に、無事にみんなでやり遂げることができました。
目玉はハイジ並みのブランコ(笑)
アカザ天国だった!
ゴロ引き漁に再挑戦!
ジンゾク!(ヨシノボリ)・・・がちょこっと(笑)
やっとみんなでやり遂げるできた!10月の終わりの晴れた日。
~「誰かに委ねすぎないこと、それが暮らしを守ること」~
「みんなが前向きに、それぞれが考え始めて、できることから始める。
誰かに委ねすぎないことが暮らしを守ることだと思う。」
研修を終えたあと、瀧先生が、こんな風に話してくださいました。
誰かに委ねすぎない暮らし。
そんな暮らしを続けてきたのが、神山で暮らしているみなさんたちだなぁと。
神山で出会ってきた方たちのことを、そして、ここで暮らしている日々のことを思いました。
次年度はどんな出会いが生まれ、どんな活動になっていくのでしょうか?
楽しみです。
「できることから始めよう、小さな自然再生」!
この町で生まれていく取り組みを、大切に育てていきたいと思います。
田中 泰子 (神山つなぐ公社 安心な暮らしづくり担当)
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