空き家のミカタvol.6_2 窓の周辺

住まい2023年10月27日

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投稿者:移住支援センター

 こんにちは。移住交流支援センター吉田です。
 前回は窓の造りについて、ベースになる考え方をいろいろなタイプを挙げてご紹介してみました。
 続いて今回は、室内の建具も含めて、空き家でよく見られる窓関連現象についてです。

 それでは、さっそく移住交流支援センター出会った事例を列挙してみます!

1,そもそも建具が動かない・動きづらい
 まずは建具が動かないパターン集です。なぜ動かないのか?私の主観でのよく見る理由順です。要因が複合していることもあるでしょう。

◯鴨居のたわみ
 なんといってもよくあるのは鴨居(溝が付いていて建具の上端をはめている部材)が垂れ下がって建具を圧迫している例でしょう。 
 この写真は建具を動かすために鴨居をジャッキアップして突いて持ち上げている図です。
 なぜ鴨居がたわむかと言えば、直接的にはその上の壁の重み、総合的にはその上階や屋根の重さも影響しているでしょう。木材の特性として荷重がかかると長い年月でたわんできます。なので、柱を足す、家の荷重を減らす等の何らかの方法でたわみを解消すると戸が動きます。が、まあまあ大掛かりな工事ですね。

 鴨居のたわみが解消できない場合、現状の敷居・鴨居に合わせて戸の大きさを削ることが多いです。アルミサッシではなく、木枠であればそういう調整は容易にできますね。

◯コマがだめになっている
 建具の足元には戸車(車輪みたいなもの)がついています。これが経年仕様のなかで木にめり込んだりすり減ったりするとスムーズに動かなくなっています。ですのでこれを調整・交換すると改善します。戸車のことを「コマ」と、特に神山の大工さんは「ゴマ」とも呼んでいたりします。

◯敷居の溝が摩耗している
 建具が走る敷居の溝の表面が長年使用された中で滑らかでなくなっているかもしれません。
 日々のお手入れとして溝に蝋燭を擦りつけて滑りやすくすることをやったことある方もいるのではないでしょうか。また敷居滑りのテープを貼っている家もありますが、テープは擦り切れたら張り替える必要があります。

 大工さんによっては、「竹すべり」「敷居すべり」と言って、溝に竹や堅い木の薄い板を入れて滑りを良くする工夫をしています。

◯敷居・レール自体がまっすぐ通っていない
 外の建具の場合、敷居にかかった雨水の水はけや乾きが悪いために木が傷むこともよくあります。また壁自体が歪んでいたりします。するとレールもまっすぐで無くなるため、建具が動きにくくなります。下の図は壁が湾曲してレールがサッシに擦れてしまっている例。 

 
〇建具下端の傷み 
  
 この写真の例は、傷んだ雨戸の下端を新しい木に替えました。雨水がかかることが要因になりがちなので、上記敷居の痛みとセットで起こっていることが多いです。木の建具は水が大敵ですが、全部交換しなくてもこうして部分修復できるという良さもあります。

 以上、いろいろ挙げてみましたが、単にゴミが詰まっているだけなんてのも!
空き家ではいつもゴミホコリが大敵です。神山は都会より土埃も多いので、小石や砂もよく詰まっています。

2,閉めても閉まらない

〇家のゆがみ
 これも非常によく見られます。前述の建具が動かない現象にも繋がりますが、古い家の場合、家自体に歪みが出ています。すると、柱梁が直角ではないので建具を閉めても隙間ができます。

 この写真の例では、柱と建具の間の三角の隙間を木で埋めていますね。

〇増改築
 もともと窓だったところに壁をつくるように増築した場合、壁と窓の間が隙間になっていることもあります。当然、外の空気が入ってきます。

3,無いもの
 前回ご紹介したように古い家では生活スタイルが違うため、現代人が求めるものが付いていない場合もあります。

◯鍵がない
 木製建具の場合、鍵が無いことも多いです。雨戸の方に落とし込みの木の鍵(「さる」というそうです!)が付いていて、雨戸で戸締りするという考え方です。まあ、もし障子だったら鍵かけても紙破れますしね。

 この写真のような上下に動く機構の「さる」が雨戸に付いていて、戸を閉めるときには鴨居にある穴にはめ込みます。

昔の引き違い木製建具では、重なる部分にねじ込むタイプの鍵があることは多いです。この写真は、元々の「ネジ締錠」が壊れて、釘を刺すように工夫している例。

◯カーテンレール
 カーテンが存在しないお家も多いですね。

 この写真の例では窓枠に打ったくぎにゴム紐を掛けてそこにカーテンをつけていました。次に住む人がカーテンが欲しい場合はどこにどう付けるか考える必要があります。

◯網戸
 前回参照。古い木製建具の家の場合、後の時代に改修して足されていなければ網戸は無いです。家によっては追加する隙間も十分無かったりするので、網戸追加の改修はいつも悩むポイントです。

4,一見ボロボロに見えるけど・・・?
 さて、経年劣化ではなく、手入れしながら使っていくもの、という観点です。

〇障子
 障子が破れていると空き家見学時にビビる方もいらっしゃいますが、障子紙は張り替えたらよいのです。

 私の小さい頃は実家では年末大掃除で毎年張り替えていました。破れてなくても張り替えると、新しい紙は白くてシャキッとします。

 こんなかんじで、穴が開いた時におもしろい形の紙で穴をふさぐのも、子ども心に好きでした。そういえば、実家では段々毎年の張替えをしなくなった記憶がありますが、子ども(自分)に破られなくなったからかもしれません。

〇網戸
 網戸の網の張り替えはDIYでも簡単です。昔の家はグレーの網が一般的ですが、黒色の網にすると透明感が高まります。そんなところで自分の好きなように少しづつ変えるのも良いですね。

〇襖(ふすま)
 襖紙も破れたら張り替えます。DIYでやるのは障子よりはレベル高いです。私は襖屋さんに頼みました。お部屋の雰囲気がぐっと変わるので、どんな襖紙を使うかも家の楽しみですね!

〇ガラス
 ガラスが割れたら・・・まあ、替えますね。
 ただ、古い建具のガラスは薄いため、同じ厚みのガラスは今はもう製造されておらず、建具枠の溝に合わない場合があります。古いガラスを探すか、建具ごと替えるか、いつも地味にひと手間かかるところです。なので、なるべく割りたくない・・・
 ちなみに、モノストックにはガラスストックもあるので是非チェックしてみてください!


 今回のような細かい点は、見学中には気づきにくいことでありつつ、住もうとする段階でよく質問される点でもあります。また、生活上問題ないと感じる方もいれば嫌だという方もあり、人によって感覚が分かれるところだなと感じます。空き家に限らず、今自分の住んでいる家も注意してみてみると何かしら発見があるかもしれませんね!

―――過去の記事――――――
・空き家のミカタ連載記事一覧
 https://www.in-kamiyama.jp/tag/akiyanomikata/

・目次(空き家のミカタ_vol.0)
 https://www.in-kamiyama.jp/diary/70929/

 

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移住支援センター

物件紹介から交渉、契約、地域への順応支援にいたるトータルサービスを提供。 「こんなところに住みたい」という移住希望者の要望と、「こんな人に来てほしい」という所有者や地域住民の仲介役を果たします。 「これがダメなら、あれはどう?」というような不動産屋さん的な対応はしません。 最適で、最善の組み合わせを実現するため、一件一件に時間をかけます。 家探しには忍耐が必要です。その忍耐力をお持ちかどうかも、マッチングの大きな要素となります。

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コメント一覧

  • 今回の記事は空き家に住んでいなくても、 (家が古くなると、)実感します。 「傷んだ雨戸の下端を新しい木に替えました」 という事例。 ・・ああ、そういう「手」があったのね こりゃいい! 我が家の勝手口(木製)の引き戸が雨で傷み、 動きにくくなっているので、 この方法で、大工さんにお願いしよう! ありがとう

    2023年10月29日 22:24 | 河野公雄(ニコライ)

  • ニコライさん、いつも読んでいただきありがとうございます。 何より、神山では今でもこういうことをちゃんとする大工さんが活躍しているというのがすごいことですね!

    2023年10月31日 11:51 | 移住支援センター

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